2013 Fiscal Year Research-status Report
CDDP+VNRによる肺癌術後補助化学療法の治療効果に関する分子マーカーの検討
Project/Area Number |
25462174
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
園部 誠 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00432378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊達 洋至 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60252962)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 非小細胞肺癌 / ビノレルビン / 薬剤耐性 / ABCB1 |
Research Abstract |
完全切除II期、III期非小細胞肺癌に対するシスプラチン+ビノレルビンによる術後補助化学療法の効果予測のため、感受性、耐性に関連すると考えられる遺伝子発現や変異を分析することが本研究の目的である。 ビノレルビンへの耐性、感受性については不明の点が多いため、肺癌細胞株H1299、H520、A549について、ビノレルビンを低濃度から暴露させてビノレルビン耐性株を作成した。H1299については臨床的なビノレルビン治療濃度に近い500 ng/mLへの耐性株、A549で100 ng/mLの耐性株を作成できた。前者について、耐性株と親株(感受性株)から抽出したmRNAの網羅的解析を行ったところABCB1遺伝子の発現量が統計的に有意に増加していることが判明した。その他候補となる遺伝子を複数個同定できた。 完全切除II期、III期非小細胞肺癌に対するシスプラチン+ビノレルビンによる術後補助化学療法を受けた患者肺癌組織からは、mRNAおよびtotal DNAを抽出し、EGFR遺伝子、KRAS遺伝子、ERBB2、EML4-ALK融合遺伝子について検索した。また免疫染色用のホルマリン固定パラフィン包埋切片を作成した。 上記対象となる患者群の3年無再発生存率が確定し、現在論文投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初薬剤耐性細胞株の作成は当初の計画では予定されていなかったが、対象とすべき遺伝子が薬剤耐性株作成の解析でかなり絞り込めたために検索が容易となった。また、遺伝子変異解析は予定通りである。対象患者の予後情報の集積と論文作成については予定より早く進んでいる。全体としてほぼ当初の計画通り進行していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
A549の耐性株についてもmRNAの網羅的解析を行う。H1299と共通の発現変化を認めた遺伝子について、knock-downを行いビノレルビン耐性への関与の程度を確定させる。 ABCB1タンパク質のシグナル伝達系の下流にあるintegrin-FAK-Akt pathwayについての発現解析を行い、ビノレルビン耐性の詳細を解明する。 対象患者の肺癌切除組織の免疫染色およびmRNA発現解析を、上記で明らかになった遺伝子について行い、治療成績と比較する。
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