2013 Fiscal Year Research-status Report
PPAR-gamma活性化による新たな肺癌分子標的療法の開発
Project/Area Number |
25462175
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 匡美 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10379232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 正人 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (10240847)
奥村 明之進 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40252647)
澤端 章好 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50403184)
舟木 壮一郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50464251)
中桐 伴行 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70528710)
新谷 康 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90572983)
川村 知裕 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30528675)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 肺癌 / 癌間質 / 上皮間葉移行 |
Research Abstract |
まず,癌の上皮間葉移行において線維芽細胞などの癌間質の微小環境が重要な働きをしていることを確認するための予備実験を行った.2種類の肺癌細胞株A549とNCI-H358を用いて,肺癌組織と正常肺組織から分離した線維芽細胞とin vitro系で共培養を行った.結果として,形態的に癌細胞の紡錘形変化と,N-cadherin発現増加,およびalfa-SMA発現増加を認め,癌細胞の上皮間葉移行を確認した.また,CD133とCD44発現増加から幹細胞様変化を認めた.これらの変化とTGF-beta濃度は,癌組織から分離した線維芽細胞の方が正常肺から分離した線維芽細胞の培養系よりも高濃度で検出された.すなわち,癌間質に存在する線維芽細胞は癌細胞の増殖と転移,抗癌剤耐性などに影響を与えていると考えられた.さらに,マウスに肺癌細胞株を注射し生着させるin vivoの動物実験系において,癌組織から分離した線維芽細胞を同時に投与した方が癌増殖は有意に早かった.in vivoでも癌間質の線維芽細胞は正常肺間質の線維芽細胞に比し,E-cadherin発現低下とCD44発現およびKi67指数の増加を認めた.以上の結果から,癌間質の線維芽細胞が,肺癌において,上皮間葉移行と増殖に関与していることが示された.今後,この癌増殖と上皮間葉移行を促進させた環境にPPAR-gamma agonistを投与し変化を観察する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PPAR-gammaの刺激による癌の増殖抑制系において有意な差をデータとして得るためには,対照実験系で癌の微小環境,特に癌間質線維芽細胞の働きと影響を無視できないことが判明した.現在,in vitroとin vivoで,癌間質線維芽細胞の上皮間葉移行に対する促進的影響の検証実験を行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
肺癌細胞株を用いたPPAR-gamma agonist投与による上皮間葉移行への影響をあきらかにするために,最も適した実験系を微小環境を整えることにより模索する必要がある.昨年度に得られた結果をもとに,癌間質から分離した線維芽細胞や,他の市販の癌関連線維芽細胞を用いてその増幅効果を検証する.さらに,in vivo系におけるTGF-beta至適濃度を設定し,PPAR-gamma agonistの効果が発揮しうる生体条件を模索する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
PPAR-gamma agonist試薬の使用実験を開始していないため,関連抗体や消耗品購入がややおくれた. 次年度に持越し,予定の試薬と消耗品を購入し,研究を遂行する.
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Research Products
(2 results)