2013 Fiscal Year Research-status Report
肺気腫における癌関連線維芽細胞を介した肺癌進展誘導の機序解明と新規治療法の開発
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25462177
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
林 雅太郎 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (00554057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西本 新 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90396325)
上田 和弘 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (90420520)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 肺気腫合併肺癌 / 癌関連線維芽細胞 |
Research Abstract |
本研究では癌の維持、進展を制御しているとされる癌関連線維芽細胞(CAF)に注目して、肺気腫を合併した肺癌の進展への関与とそのメカニズムを明らかにし、CAFを標的とした新規治療戦略を模索する。動物モデルの作成を行った。マウスにエラスターゼを経気管的に投与し、肺気腫マウスを作製し、肺気腫マウスを用いて転移性肺癌モデルを完成させた。ヒト手術標本は過去に当施設で手術を受けた肺癌患者の摘出標本(高分解能CTにより肺気腫の有無の分別)を使用する予定をしており、その臨床的悪性度、予後など臨床データの収集を行った。癌組織内におけるCAFの同定、CAFの起源の探索、癌組織からCAFの単離、CAFの機能解析を行うことで、肺気腫を合併した肺癌のCAFの特性を調べた。動物モデルを用いて免疫組織化学染色で評価した。CAFや線維芽細胞の表面マーカーであるFAP、FSP-1、α-SMA、Vimentinを使用する。 CAFを既知の分子表面マーカーで同定し、その分布を明らかにした。動物転移性肺癌モデルの摘出肺から肺細胞の初代培養を行った。第2または第3継代細胞をFAP、α-SMAの分子表面マーカーの抗体を使用し、Flow cytometryでCAFを単離した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モデルマウス作成に関する手技安定に時間を要した。肺組織からの肺細胞初代培養の技術習得に大きな時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究分担者、協力者と話し合いを行い、研究分担内容の再検討を行う。研究進行状況を常に把握しながら、研究を進めていく。まずはCAFの起源を探索する。起源は肺の線維芽細胞からの変化または、かつ骨髄由来の細胞の生着、分化が有力とされている。骨髄由来細胞のみをGFP(green fluorescence protein)で認識できる肺気腫マウスを作製する。同モデルマウスを用いて転移性肺癌モデルを作製する。摘出肺標本をCAFに特異的に発現するとされるFAP、FSP-1、α-SMA、Vimentinの免疫組織化学染色を行う。癌組織内のGFP陽性/FAP陽性の細胞を骨髄由来のCAFと、GFP陰性/FAP陽性の細胞を骨髄以外の組織由来のCAFと判断し、それぞれの比率を算出する。またCAFの機能解析を行う。動物転移性肺癌モデルの摘出肺単離されたCAFを培養し、細胞生存、細胞増殖能、アポトーシスを評価する。一般的にCAFから分泌されると報告されている成長因子(VEGF、HGF、FGF、IGF、PDGF)・ケモカイン(CXCL-1, 5, 12, 14、MCP-1)・サイトカイン(IL-1, 6, 8、TNF-α)、MMPs(MMP-1, 2, 3, 9, 11, 13, 14, 19、TIMP-1, 2, 3)を評価するために培養液中のそれらの項目を測定する。普通肺にできた肺癌のCAFに比べて、肺気腫を合併した肺癌のCAFからの分泌が有意に多い因子を特定する。ELISA、Gelatin-zymography、Western Blottingを使用し、定性・定量的評価を行う。タンパク質マイクロアレイ、DNAマイクロアレイを用いてCAFの合成タンパク質、DNAを網羅的に検索する。上記実験を早急に進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画通りにはいかず、モデルマウス作成や肺組織からの肺細胞初代培養に大きな時間を要したため、本年度の実験計画に入っていた組織免疫染色、ELISA、Western blottingに用いる抗体や薬剤などの消耗品の購入を見送ったため、未使用額が生じた。 次年度は、in vivoを中心とした解析を予定しており、その解析費用に充てる予定である。
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