2013 Fiscal Year Research-status Report
EGF family 受容体を介した非小細胞肺癌の自然・獲得免疫逃避機構の解明
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25462189
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
沖田 理貴 川崎医科大学, 医学部, 講師 (90467762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 昌男 川崎医科大学, 医学部, 教授 (30368641)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | NK cell / NKG2D ligand / EGFR / lung cancer |
Research Abstract |
NK細胞傷害活性の主なメカニズムにNKG2Dリガンドを介した標的認識機構があり、NK細胞は免疫監視機構を担う。腫瘍細胞におけるNKG2Dリガンド発現機構としてはDNAストレスを介したATM-ATR経路、癌遺伝子 (BCL/ABL、HER3)が報告されてきたが、未解明な点も多い。我々は特に非小細胞肺癌における、EGFファミリー受容体を介した、腫瘍におけるNKG2Dリガンド発現機構の解明と、そのNK細胞傷害活性への影響について研究を行っている。これまでに、非小細胞肺癌細胞株ならびに切除検体を用いて、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤がNKG2Dリガンド発現にあたえる影響を、殺細胞型抗腫瘍薬(ゲムシタビン, ペメトレキセート, ドセタキセル, ビノレルビン)との比較も含めて検討し、細胞株を用いた検討では、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤はNKG2Dリガンド発現をEGFR/PI3K/AKT経路依存性にNKG2Dリガンド発現を減弱させる一方、殺細胞型抗腫瘍薬はATM-ATR経路依存性にNKG2Dリガンド発現を増強させることを確認し、国内外の学会(日本肺癌学会総会、欧州臨床腫瘍学会)で発表した。またHER3シグナルとNKG2Dリガンド発現についても複数の非小細胞肺癌細胞株でHER3刺激によるNKG2Dリガンドの発現増強を確認しており、EGFRシグナルとHER3シグナルのNKG2Dリガンド発現制御機構の解明とNK細胞傷害活性への影響を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞株を用いた実験については研究計画を達成しており、非小細胞肺癌の治療に用いられる抗腫瘍薬のうち、EGFRシグナル阻害剤と従来型の殺細胞型抗腫瘍薬ではNKG2Dリガンド発現への影響が異なること、その結果としてNK細胞傷害活性への影響も対照的となることを論点とした論文を投稿準備中である。しかし、手術検体を用いた実験系については腫瘍細胞分離の作業が細胞へ与えるストレスが大きいようで、フローサイトメトリーによる表面マーカー解析は成功しているが、NK細胞傷害活性については手技がいまだ確立できていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
EGFRシグナルの阻害、刺激とHER3シグナルの刺激、阻害についてsiRNA、各種細胞内シグナル阻害剤、モノクローナル抗体を用いて、細胞株のみならず手術検体や悪性胸水検体からの腫瘍細胞分離を行い、臨床検体における現象の解析をめざす。合わせてMHC class Iの発現への影響もみられることから、T細胞による獲得免疫への影響も合わせて検討をおこない、EGFファミリー受容体が自然免疫、獲得免疫双方に与える影響を総合的にとらえたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入予定であった試薬の一部(siRNA試薬:EGFR遺伝子のサイレンシングに使用)を前勤務先(カロリンスカ研究所 Prof. Rolf Kiessling ラボ)より少量ではあるが提供していただけ、新規購入の必要がなくなったため。 EGFR遺伝子のサイレンシングがNKG2Dリガンド発現を抑制することが、ある非小細胞肺癌細胞株で確認できた。さらに複数の細胞株での確認、ならびに他のEGFファミリー受容体(HER2、HER3)遺伝子のサイレンシングを行うためにsiRNA試薬の追加購入が必要なため、これらへの費用に用いる予定である。
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