2013 Fiscal Year Research-status Report
くも膜下出血後の脳細動脈の機能障害と攣縮に対するマグネシウムの拡張作用の解析
Project/Area Number |
25462210
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
村田 貴弘 信州大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (80533322)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 哲吉 信州大学, 医学部, 准教授 (40303466)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 細動脈血管内皮 / くも膜下出血 / マグネシウム / 脳血管攣縮 |
Research Abstract |
本研究の目的は、脳細動脈における細胞外マグネシウム濃度増加による血管拡張作用の解析を行い、くも膜下出血後のearly brain injuryと脳血管攣縮に対するより有効な治療を確立することにある。具体的にはマグネシウムの血管拡張作用機序に血管内皮やカリウムチャンネルが関与してるか、その拡張作用はくも膜下出血後脳血管攣縮における攣縮誘発因子(血管収縮物質)で抑制されるのか、early brain injuryによる機能障害を起こした脳細動脈はマグネシウムで拡張するのかを明らかにするために研究を行っている。 SDラットより摘出した脳の中大脳動脈から穿通している細動脈(レンズ核線条体動脈(直径30~100μm))を摘出した。摘出した細動脈の両端を臓器槽に装着された微小ガラスピペットを用いてカニュレーションし、顕微鏡下に細動脈に生理的内圧を負荷し血管径を観察した。 既に平成24年度研究活動スタート支援の採択を受け実験を開始し、脳細動脈においては血管内皮一酸化窒素(NO)は関与していないことを明らかにした。平成25年度は血管内皮損傷モデルを作成しマグネシウムの血管拡張作用を検討した。結果、その拡張作用は抑制されず、マグネシウムの血管拡張作用に血管内皮は関与していないと考えられた。幾つかの大血管(大動脈など)ではマグネシウムの血管拡張作用機序に血管内皮NOが関与していると報告されているが、脳細動脈においては関与していないと考えられる。くも膜下出血後の脳血管攣縮機序においては、NO合成は抑制された状態と考えられており、攣縮した脳血管もマグネシウムで拡張すると考えられ、脳血管攣縮に対するマグネシウムによる治療の有効性を一部示唆したと思われた。続いて、その拡張作用に血管平滑筋カリウムチャンネル関与しているかどうかを実験中であり、一部のカリウムチャンネルの関与を示唆する結果を得ている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、①マグネシウムの血管拡張作用機序に血管内皮やカリウムチャンネルが関与してるか、②その拡張作用はくも膜下出血後脳血管攣縮における攣縮誘発因子(血管収縮物質)で抑制されるのか、③early brain injuryによる機能障害を起こした脳細動脈はマグネシウムで拡張するのか、の3つである。 初年度は①のが明らかにされつつあり、概ね順調に進展していると思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、マグネシウムの血管拡張作用機序に血管平滑筋カリウムチャンネルが関与してるか、マグネシウムによる血管拡張作用がくも膜下出血後脳血管攣縮における攣縮誘発因子(血管収縮物質)で抑制されるのかどうかを明らかにする。ここまでの研究成果の学会発表を行い、議論を深め論文作成に繋げる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた情報収集のための学会参加ができなかったため 平成26年度は、①マグネシウムの血管拡張作用機序カリウムチャンネルが関与してるか、②その拡張作用はくも膜下出血後脳血管攣縮における攣縮誘発因子(血管収縮物質)で抑制されるのか、を明らかにするために引き続き実験を行う。また学会に参加し情報収集を行うとともに、海外学会での発表を行う。
|