2013 Fiscal Year Research-status Report
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25462233
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
石川 真実 自治医科大学, 医学部, 准教授 (60212859)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脳微小循環障害 / 血球速度 / 細動脈血流速度 / くも膜下出血 / 毛細血管血球速度 |
Research Abstract |
くも膜下出血(SAH)直後の脳損傷の原因のひとつは、脳微小循環障害と考えられるが、くも膜下出血後の脳微小循環に関する研究は、ほとんどなく、脳表の血管の観察がわずかにあるのみである。脳表だけでなく、脳実質内の微小循環を観察するために、2光子顕微鏡を用いて、病態解析を行った。脳表から100μm弱の深さのprecapillaryとpenetrating arteryの血管径変化をSAH直後から観察し、さらにprecapillaryの赤血球速度をline scan法により測定した。Rhodamine 6Gの持続投与により、血小板と白血球を蛍光染色し、染色されない血球を赤血球として、血小板、白血球、赤血球と、血球の種類を分けてそれぞれの血球速度を脳表から約100μmの深さの毛細血管内でline scan法によって測定した。SAH直後、penetrating arterioleやprecapillary arterioleは、血管径15.1+/-3.3μm, 6.0+/-1.1μmからそれぞれ約20%拡張したが、その後は収縮傾向を示し、precapillary arterioleの赤血球速度は1.0mm/s以下まで著明に低下した。Rhodamine 6G静脈内持続投与により測定したSAH1-2時間後の毛細血管内血球速度は、血小板、赤血球、白血球ともに正常から約50%有意に低下した。白血球が毛細血管内に接着して、白血球だけでなく、赤血球や血小板の流れも遮断する現象も観察され、白血球の毛細血管内接着は、脳微小循環悪化の原因の一つとであった。この脳微小循環の観察は、くも膜下出血だけではなく、すべての病態に応用できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脳微小循環の評価として、血管径を主に考えていたが、血流速度も重要であり、今回の実験系で測定可能であること、また、予定していた測定よりもさらに細かく、各血球ごとの速度測定が可能であることから、それらの正常値と、脳微小循環障害時の変化を観察した。結果の評価方法を細かくし時間を要したために、目的達成が遅れているが、GFAP-GFPマウスをもちいることで、細動脈の確認ができることは非常に有用であり、平成25年度は、そのメカニズムの追求への発展には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
最初に予定していることを変更すべき点はないと考えられ、予定通り、少しずつ進めてゆく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画の中で、結果評価のための方法論的実験に時間を要したため、knock out mouseやQdotなどの消耗品の使用が少なかった。今後の実験進行により、くりこした研究費も必要となる予定である。 神経刺激記録に関する消費、蛍光色素、knock out mouseなど、すでに使用用途がきまっており、26年度の研究結果に反映される予定である。
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