2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25462233
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
石川 真実 自治医科大学, 医学部, 准教授 (60212859)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | くも膜下出血 / 毛細血管 / 脳細動脈 / 脳循環調節 / 一酸化炭素 / ビリルビン / アストロサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
くも膜下出血(SAH)1-2時間後には、白血球や血小板が脳細静脈内にローリング、接着する炎症が進行する。くも膜下出血直後の1分では、脳圧が上昇し、脳虚血がもっとも強いことは、1980年代の犬、ウサギ、猫の実験により証明され、ラットやマウスでも同様であることは、その後報告されている。いままで、この研究で行ってきたマウスSAHモデルに2光子励起レーザー顕微鏡を用いた研究では、脳表ではなく脳内微小循環を観察することで、SAH直後の血流変化に対して、次の3つのことが明らかとなった。 1)SAHと同時に脳圧が血圧の70-80%まで上昇する。SAH1分で、細動脈内の血流があるのは、全体の60%、残りの20%のマウスは血流もとまるか、流量の著明な低下。2)血流のある60%のマウスでは、細動脈血流速度と細動脈内血流量は、SAH前の10-20%まで低下する。(脳循環調節能)3)その後60分までの観察で、細動脈血流は回復せず、細動脈の拡張も2分後には、維持できなくなり、収縮してしまう血管もある。(脳循環調節機能の障害) SAH発症瞬時の血流低下が著明で、その後調節機能消失、脳循環障害。60分後も脳血流の回復が50%以下の理由として、毛細血管内での白血球の停滞がある。(no-reflow phenomenon) GFAP-GFPマウスの緑色蛍光強度が、SAH直後から低下し、pH変化に注目、SNARF1を用いたが、実験系が合わず難しかった。 細動脈血管の拡張収縮のコントロールとして、一酸化炭素(CO)に注目。脳では主に神経細胞内のheme oxigenase(HO)により産生されると考えられる。HOによりCOと同モルビリルビン測定を試みた。方法は、ビリルビンと結合して蛍光を発するUnaGを用いた定量法で髄液中のビリルビン測定を行うと、血中ビリルビンの1/100以下の量が髄液中に存在した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アストロサイトのpH測定が困難であった。ビリルビン測定が、安定せず、時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
脳表灌流実験を早急に進め評価してゆく。 新しい理研との共同研究との関連性を考えて、早急に進める。 in vivoでのビリルビン測定法を理研で開発中で、完成した時点で、検討する。
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Causes of Carryover |
In vovoの実験系での一酸化炭素測定が困難なことから、間接測定としてラット髄液微量ビリルビン測定法の確立に時間を要しました。UnaGを用いた測定法で、測定再開しております。また、アストロサイトと脳血流観察を行う方法として、2光子生体顕微鏡の高精度化、また、血管拡張物質の相互作用のデータ採取に時間を要しております。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験動物、血管反応データ採取、データ解析、蛍光物質などの購入に使用する予定です。
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