2013 Fiscal Year Research-status Report
ICG-Liposomeを用いた脳腫瘍の新規免疫療法
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25462244
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岩立 康男 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70272309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 裕 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50263174)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ICG-Liposome / 光線力学療法 / glioma / 抗原提示 / CTL |
Research Abstract |
我々は、脳腫瘍へ特異的な集積を示すIndocyanine green (ICG)-リポソームを開発した。その静脈内投与と脳腫瘍への近赤外線照射を組み合わせることで、活性酸素と温熱作用により脳腫瘍局所で有効な抗原提示をもたらし、免疫機構を動員した腫瘍拒絶を得ることを目指した研究を行っている。 初年度である平成25年度は、まずFisher rat-9L gliosarcomaによる脳腫瘍モデルを作製し、ICG-Liposomeを静注し光イメージによる評価を行った所、144時間後まで脳腫瘍局所へ集積すること、他臓器では早期に排出されることを確認した。また、腫瘍表面温度は平均4℃の上昇を認めた。この脳腫瘍モデルに対し、移植7日後よりICG-Liposome投与と波長800nmの近赤外線照射(100mW/cm2)による治療実験を行った。7 テスラ動物専用MRI(放射線医学総合研究所)による腫瘍体積評価では、腫瘍移植4週間目の時点で、未治療コントロールラットの腫瘍体積が800mm3に達するのに対し、治療群では平均100mm3未満であった。Kaplan-Meier法による生存期間の比較では、コントロール群の中央値が32日であるのに対し、治療群では54日であり、統計学的有意差を認めた(p=0.02)。しかしながら、腫瘍消失/治癒の得られた例はなく、今後ICG-Liposome投与やLED照射の時期について検討を加える予定である。治療に伴う著明な体重減少や異常行動、MRI上の脳浮腫などは認めなかった。 本治療開始後2週間目のラットから脾細胞を採取し、7AAD Cell Viability Assay KitによるCTL assayを行った。治療群では高いCTL activityが認められ、ICG-Liposome投与と近赤外線照射により9L特異的Tリンパ球が効率よく誘導されることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書記載の研究計画では、平成25年度は、脳腫瘍モデルの治療実験、脾細胞によるCTL assayまで行う予定であり、ほぼその通りに進行している。CTL assayは個体数を増やして実験を重ねる予定であるが、摘出脳の免疫組織学的検討も一部開始できており、”おおむね順調”と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
治療実験は、個体数を増やし、Liposome投与と近赤外線LED照射による治療開始時期を早めた場合の反応性も検討する。同様に9Lによるラット脳腫瘍モデルを作製し、前年度と同じ治療を行った後、一定期間(2 週間目)に動物を安楽死させ、脳を摘出する。これをHematoxylin-Eosin 染色による病理組織学的検討の他、TUNEL染色によるアポトーシスの検出、種々の免疫組織化学(マクロファージ、NK 細胞、CD4 T リンパ球、CD8 T リンパ球、Foxp3+ 抑制性T リンパ球、CD11c 陽性樹状細胞、CD123 陽性樹状細胞などの検出、マイクログリア活性化の評価)を行う。また、同一の標本を用いて、Hematoxylin-Eosin 染色を行い、脳腫瘍周囲の正常脳の他、対側脳、小脳、脳幹などの組織学的細胞構築の異常の有無を検索する。同時に、免疫組織化学により免疫担当細胞の活性化を評価する。
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Research Products
(6 results)