2013 Fiscal Year Research-status Report
自殺遺伝子導入iPS細胞による悪性グリオーマの治療研究
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25462252
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
天野 慎士 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (70464138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
難波 宏樹 浜松医科大学, 医学部, 教授 (60198405)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 自殺遺伝子療法 / iPS細胞 / bystander効果 / mesenchymal stem cell |
Research Abstract |
悪性グリオーマをターゲットに、これまでは脳内を自由に遊走し腫瘍に集積する神経幹細胞や間葉系幹細胞をベクターとする自殺遺伝子治療を開発し、その有用性と安全性を検証してきた。人工多能性幹細胞(iPS細胞)は患者本人からの作成が可能な多能性幹細胞であり、再生医療領域のみならず本研究のベクターとしても臨床応用に適していると考えられ、その開発を目的として研究を行ってきた。 マウスiPS-venus-tkを用いて実験を行った。iPS細胞は、C6, A172, T98G, YKG1, U87, GL等の多種のグリオーマ細胞に集積性を示した。このiPSを用いて、マウス神経膠腫細胞GLとのbystander効果を検証したが、思うような効果があがらなかった。培養顕微鏡で観察すると、iPS細胞が増殖する際にコロニーを形成し、腫瘍への遊走能が阻害され、その結果細胞接触が制限されてしまうことや、iPS-tk細胞は比較的分裂速度が速いので、充分な細胞接触前に死滅してしまいbystander効果が低下することが考えられた。そこで我々は、iPS細胞をmesenchymal stem ceii (MSC)に分化させ治療に用いる方法を考えた。 iPS-venus-tkを分化誘導培地にて3週間培養し、MSC like cellに分化させた。骨細胞、軟骨細胞、脂肪細胞への分化や表面抗原を調査し、MSC類似の細胞であることを確認した。iPS細胞より分化させたMSC-venus-tk細胞とマウス神経膠細胞GLを様々な比率にて混在培養させ、GCV存在下と非存在下での腫瘍細胞の生存数を調査した。結果としては、骨髄細胞より直に採取したMSCと比べると効果は低下するが、iPS-MSC-tk : GL = 1 : 4 程度の比率まで抗腫瘍効果が明らかに認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は主に細胞の確立と、そのin vitroでの性質の検証に当てられる予定であった。 マウスiPS-tk細胞の培養確立と、in vitroでのbystander効果の確認を行うことができたことは順調に進展していると考える。しかし、本年度の結果より、iPS細胞そのものをベクターとして用いるのでは治療効果が限定的である可能性があり、iPS細胞をMSCに分化させて治療に用いる手法を検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はiPS-MSC-tkの遊走能の調査やin vivoでの効果の検討を行う予定である。 他に、iPS細胞をneuronal stem cellに分化させてその効果を検討したり、マウスではなくヒトiPSにて同様の効果確認を行っていく予定である。 また、当初の予定どおり、in vivoの実験を遂行していく。ラットおよびマウス脳腫瘍モデルを作成する際に、iPStk細胞を種々の割合で混ぜて移植し、GCVを全身投与し、バイスタンダー効果の強さを検討する。また、GCVの投与時期、期間、量などを変化させ、最適な治療条件を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度研究にあたり、当初予定よりも少ない培養回数にて実験を行うことができたため、細胞や培養液、試薬等の購入費を抑えることができたため。 来年度以降の研究遂行にあたり、予定よりも数多くの培養や動物実験を行わなくてはならなくなった時に使用する。 また、in vivoで用いる定位脳手術装置や微量シリンジポンプの老朽化のため、購入が必要となる可能性があり、その場合はその費用として用いる予定である。
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Research Products
(1 results)