2015 Fiscal Year Annual Research Report
悪性脳腫瘍におけるゲノムグローバルなヒストン修飾制御因子の探索
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25462267
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
八幡 俊男 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 助教 (40380323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上羽 哲也 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (00314203)
東 洋一郎 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 助教 (80380062)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 膠芽腫 / 幹細胞 / 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性脳腫瘍におけるがん特異的代謝やシグナル伝達によるヒストン修飾を介した細胞分化の制御機構を明らかにすることを目的としている。前年度までに膠芽腫幹細胞において高発現する遺伝子としてCD146を同定していた。CD146の発現は幹細胞マーカーCD133の発現と相関性があること膠芽腫細胞の分化と共に消失することから、幹細胞において重要な役割を担っている可能性が考えられている。膠芽腫幹細胞を多く含むスフェア培養した細胞においてCD146の発現をノックダウンすると顕著な増殖抑制が観察された。一方、CD146の過剰発現は増殖に影響を示さなかった。分化傾向の細胞を多く含む従来の血清を含む培養液で培養した膠芽腫細胞ではCD146のノックダウンの増殖抑制効果は限局的であったが、過剰発現は増殖抑制効果を示した。膠芽腫細胞の細胞周期をフローサイトメトリーを用いて解析すると、CD146の過剰発現は分化細胞においてG0/G1期の細胞を増加させることが分かった。逆にCD146のノックダウンは膠芽腫幹細胞においてG0/G1細胞を増加させた。これらのことからCD146の細胞周期制御における機能は幹細胞では細胞分裂を亢進し、分化細胞では細胞分裂を停止させる方向に作用することが考えられた。実際にCD133とCD146の二重陽性の膠芽腫幹細胞は、G2/M期の細胞を多く含むことが観察されたことからCD146は分裂する幹細胞のマーカーである可能性も示唆された。また、CD146を高発現する膠芽腫幹細胞の培養では乳酸の生成が変化していることを見出し、その細胞周期の制御における影響を検討している。さらに、CD146の神経膠腫組織における発現を免疫組織化学染色により検討するとWHOグレードⅢとⅣにおいて高発現することが観察されたことから、悪性脳腫瘍の細胞分裂の制御におけるCD146の機能の重要性が考えられた。
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