2013 Fiscal Year Research-status Report
限局性皮質形成異常を標識する術中分子イメージング法の開発
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25462269
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
浜崎 禎 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (60433033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 和慶 熊本大学, 医学部附属病院, 特任教授 (00398215)
倉津 純一 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (20145296)
玉巻 伸章 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (20155253)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Epilepsy / Focal cortical dysplasia / Molecular probe |
Research Abstract |
限局性皮質形成異常(focal cortical dysplasia, FCD)は、大脳皮質の発達異常であり、薬剤の有効性が乏しい難治性てんかんの原因疾患の一つである。FCDでは局所で異常なニューラルネットワークが形成されており、興奮性と抑制性神経回路の正常機能が障害されて、てんかん焦点が形成される。Activin Aはマウス中枢神経発達期において神経細胞の増殖と分化に重要な役割を果たすタンパクである。共同研究を行っている熊本大学脳回路構造学研究室の最近の研究により、Activin Aは成体脳において、抑制性神経細胞の新生に重要な役割を果たす可能性が明らかとなった(未発表データ)。また私たちは、Activin Aがヒト海馬歯状回の顆粒細胞層に発現していることを明らかにした。摘出されたFCDの組織におけるActivin Aの発現を正常脳組織と比較することで、本研究において開発を計画している分子プローブの標的候補となり得るか検証できる。 また、私たちは大脳皮質が器質的病変により障害されて起こる症候性てんかんの臨床的検討を熊本大学脳神経外科に入院した延べ11,675人の患者群で行った。調査結果から、慢性に経過した脳実質性病変にけいれん発作が高率に合併することがわかった(Hamasaki et al., Clin Neurol Neurosurg 115(11):2336-2340, 2013)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平行して行っている「ヒト脳軟膜及びくも膜に分布する神経前駆細胞の探索と活性化に関わる因子の研究」の成果を検討することで、分子プローブの標的候補となるタンパクをスクリーニング可能と考えている。この研究においては、てんかん患者及び対照者の髄液それぞれ5例ずつ、及びてんかん原性領域の摘出組織を採取した。採取された髄液は2次元電気泳動法による含有タンパクの解析が行われた。現在、てんかん患者群で有意に上昇したタンパクについて上昇の分子メカニズムの解明のためマウスを用いたin vivoの実験が進行中であり、また今後培養細胞を用いたin vitroの実験により、同タンパクの神経前駆細胞増殖や分化誘導に関する役割を解明する実験を計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究成果を踏まえて、分子プローブの標的タンパクをスクリーニングするために平成26年度は、当初の計画である皮質形成異常(FCD)の動物モデルにおいて遺伝子解析の実験を計画する。(1)新生仔ラットにおけるカイニン酸注入FCDモデルの作成、(2)脳のサンプリング、(3)mRNAの精製と定量、(4)マイクロアレイによる遺伝子発現の解析、(5)分子プローブの標的タンパク候補のスクリーニング。 (次年度使用額が生じた理由と使用計画) FCDを術中標識する分子プローブを開発するために、次年度には以下の研究計画がある。(1)In situ hybridizationによるmicroarrayの結果の検証、(2)In situ hybridizationによるその他の候補遺伝子(IL-1β、 IL-6、TNF-α、及びActivin A)のFCDモデルにおける発現の検証、(3)IRDye 800CW-NHS(Li-Cor Bioscience)を用いた分子プローブの作成。以上により、当初の計画通りの研究費を申請する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の残額2,999円は、共同研究者への分担金の残額である。免疫染色の抗体購入が計画よりも安価で済んだために生じた。 次年度の計画をより効果的にすすめる為に、平成25年度の残額を繰越とした。分子プローブ作成に必要な抗体購入に使用する予定である。
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