2013 Fiscal Year Research-status Report
神経幹細胞、神経膠芽腫癌幹細胞における転写因子Evi1 の機能解明
Project/Area Number |
25462275
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
横上 聖貴 宮崎大学, 医学部, 講師 (40284856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水口 麻子 宮崎大学, 医学部, 助教 (00647472)
山下 真治 宮崎大学, 医学部, 助教 (40468046)
水口 惣平 宮崎大学, 医学部, 助教 (50398103)
竹島 秀雄 宮崎大学, 医学部, 教授 (70244134)
森下 和広 宮崎大学, 医学部, 教授 (80260321)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | EVI1 / GIC / integrin / laminin / Notch / VEGF |
Research Abstract |
患者由来Glioma initiating cell (GIC)に、EVI1 をノックダウンした安定細胞株を2種類、市販グリオーマ細胞株に EVI を強制高発現させた安定株を作成した。未分化維持のために必須の Notch-Hes シグナル系では、GIC においても、EVI1低下に伴ってNotch1、Jag1 の低下が見られた。Integrin (ITG)についても解析をした結果、ITG A6、B1の低下が EVI1 低下に伴ってみられた。これらの基質として、胎児脳での発現が多く見られる基底膜構成因子であるlaminin に GIC を単層培養したところ、EVI1低下の細胞では、一定時期を過ぎるとlaminin に対する親和性が失われ、容易にspheroid を形成して浮遊してしまうことを発見した。また、EVI1 は、血管新生因子に対しても影響を及ぼすことが分かっていたが、glioma において重要な血管新生因子 vascular endotherial growth factor (VEGF) についても検討した。GIC は浮遊状態で、autocline によって培養上清中に VEGF を分泌しており、このVEGF分泌は、EVI1 の低下に伴って低下した。更に、EGF からのシグナルが VEGF の分泌に影響するか否かを検討するために、まず、EGFR の発現状況を見ることにした。驚いたことに、EVI1を高発現させたU87の単層培養では、EGFR は低下していた。EVI1の変化がEGFRの発現をもたらし、その下流のシグナルが変化していることが VEGF 誘導に変化をもたらしたと考えて検索を続けている。 マウスの解析においては、タモキシフェン誘導 Nestin-Cre-EVI1conditional KO妊娠マウス胎児脳から神経幹細胞を neurosphere 法を用いて初代培養し、EVI1 -/- の神経幹細胞を得た。EVI1-/- の細胞においては、神経幹細胞で活性化している Notch シグナル伝達系の Notch1, Dll4 に減少が見られた。また、これらを5% FBSで分化誘導すると、 EVI1-/- では, 分化のマーカーである GFAP, beta 3 tubulin の高発現が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タモキシフェン誘導 Nestin-Cre-EVI1conditional KO妊娠マウスからE13.5 で胎児脳を摘出。胎児脳から神経幹細胞を neurosphere 法を用いて初代培養し、200-400ng/ml タモキシフェンを添加することによって、EVI1 -/- の神経幹細胞を得ることができた。EVI1タンパク質修飾と転写調節機構、特に Notch/Musashi情報伝達系と細胞分化についてwild type から得られた神経幹細胞との比較を行った。結果は上記のとおりであった。Nestin-Cre-EVI1conditional KO妊娠マウスの交配に時間がかかり、現時点ではEVI1によるヒストン修飾の変化と転写調節にまでは検討できていないが、今後検討を進める予定である。一方、ヒト悪性神経膠腫における EVI 発現とその意義の解析については予定より進んでおり、GICにおける、成長因子VEGF や EGFR の発現や接着因子 ITG A6/B1 の発現に強くかかわることを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス神経幹細胞においても、EVI1 は Notch シグナルのみならず、他のシグナル伝達経路も調節していることが示唆され、どのように関与するのかを検索中である。特に Notch1, Dll4 という組み合わせは、VEGF 低下によってもたらされるという報告があり、上記 GIC の結果と併せて考えると、VEGF との関係を明らかにすることが重要と考えている。 VEGF promotor の解析を、epigenetic な制御も含めて検討するにあたり、まずは プロモーターアッセイより始める予定である。
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