2013 Fiscal Year Research-status Report
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25462289
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
関 庄二 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (00432112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 善治 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (00262527)
元村 拓 富山大学, 大学病院, 助教 (50640827)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | CILP / 腰椎椎間板 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
背景および目的:我々は腰椎椎間板ヘルニア患者のDNAサンプルで大規模な相関解析を行い、CILP遺伝子のI395Tにおいて有意な相関を見出した。さらにin vitroの機能解析からCILP蛋白の高発現が椎間板変性に関わる可能性を見出した(Seki S et al, Nature Genet, 2005)。CILP Tgマウス(以下Tgマウス)を作成し表現型の解析やin vivoにおけるCILPの役割を詳細に検討することで腰椎椎間板ヘルニア、椎間板変性の発症メカニズムの一端を解明したいと考える。 方法:CILP Tgマウスの作成の方法は軟骨特異的発現ベクター pNASSβ(COL11A2 promoter,IVS1) を用い、このベクターにCILP遺伝子(C末にHA tagを挿入)を導入しマイクロインジェクションによってTgマウスを作成した。またこのTg マウスを用い、表現型を解析した。 結果:【CILP Tgマウスのlineの維持および繁殖】遺伝子導入はPCR、mRNAはreal-time PCR法で確認し、CILP蛋白の発現解析はHA抗体、N末、C末抗体の3種類使用し、これらでウエスタンブロット、免疫染色でTgマウスにおけるCILP蛋白の発現を確認できた。【CILP Tgマウスの表現型の解析】椎間板の構造(髄核、線維輪)を組織学的に確認するとサフラニン-O染色にて髄核組織の染色性が有意にTgマウス群で低下していた。さらに作成した各系統間ごとに脊椎椎間板をMRIで評価すると、Tgマウスの腰椎MRIT2強調画像において、腰椎椎間板の輝度はノーマルマウスと比べて低下していたことから、明らかな椎間板変性の進行が認められたと考えられる。また各系統間のTgマウスとノーマルマウスで、腰椎レントゲン上の椎間板高の違いを有意に認めている。【CILP Tgマウスの頚椎椎間板変性、ヘルニアモデルの作成】マウスの頚椎に不安定性を導入すると頚椎椎間板変性、ヘルニアができることが分かっており、このモデルで変性誘導後の頚椎椎間板が、各系統でどのように変性度合いが違うかを評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在トランスジェニックマウスの作成を完成させて、表現型についてほぼ解析を完了しつつある。CILPはTgマウス群の椎間板の免疫染色においてSmad2/3のリン酸化がノーマルマウスと比べて低下していた。さらにノーマルマウスとTgマウスより摘出した椎間板より単離した髄核細胞をもちいて、Smad2/3、phospho-Smads2/3を比較するとSmad2/3の発現量は変わらなかったが、phospho-Smad2/3はTgマウスの髄核細胞にて低下していた。以上のことからCILP Tgマウスの椎間板では、CILPの過剰発現によりTGF-betaシグナルが低下し、それにより椎間板変性が促進された可能性があると考えられた。以上の知見を論文にまとめ掲載された(Seki S et al, BBRC, 2014.)。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ラット椎間板変性モデルを用いて、さらに椎間板変性を抑制できる可能性のある経口投与可能な薬であるc-fos/AP-1阻害薬(T-5224)の効果を検証予定である。ラットの尾椎に18G針を刺し、椎間板穿刺モデルを作成する。本マウスおよびCILP TgマウスにAP-1 阻害薬を6ヵ月まで経口投与し、偽薬投与群と比較して、実際に椎間板変性が起きるかをレントゲンやMRIにて評価し、それが抑制されるかどうかを、MRI とSafranin-O 染色で組織学的に検討を行う。c-fos/AP-1 阻害薬の経口投与群で、実際にMRIおよび組織学的に椎間板変性抑制効果が確認された場合、さらに動的因子を考慮した頸椎椎間板変性モデルでも同様のことが起こるかを確認する。メカニカルストレス下ではc-fosの発現がさらに上昇すると考えられ、c-fos/AP-1阻害が、頸椎不安定性下においても有意に椎間板変性抑制に繋がるかを、形態学的解析で明らかにする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定通り進んだが、577円の残額が生じた。 ラットのレントゲン解析、MRI解析、Safranin-O染色等の組織学的解析に使用する予定である。またラット購入費、飼育費、麻酔薬等の購入にも使用する予定である。
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[Journal Article] Cartilage intermediate layer protein promotes lumbar disc degeneration2014
Author(s)
Seki S, Tsumaki N, Motomura H, Nogami M, Kawaguchi Y, Hori T, Suzuki K, Yahara Y, Higashimoto M, Oya T, Ikegawa S, Kimura T.
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Journal Title
Biochemical and Biophysical Research Communications
Volume: 446
Pages: 876-881
DOI
Peer Reviewed
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