2013 Fiscal Year Research-status Report
脊髄損傷における骨髄間質細胞移植効率向上のための病態解明と克服に関する基礎的研究
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25462290
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
中嶋 秀明 福井大学, 医学部, 助教 (10397276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 研造 福井大学, 医学部, 准教授 (60273009)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / 骨髄間質細胞 / 細胞移植 / 抗IL-6受容体抗体 |
Research Abstract |
脊髄損傷に対する骨髄間質細胞 (BMSC)移植において、BMSCの生存率と脊髄損傷後の機能回復には相関があるとされる一方で、組織生着率が低いことは大きな問題点である。本研究では、損傷後早期の抗IL-6抗体投与併用が、移植BMSCの生存率や組織生着に与える影響について検討した。 ①移植時期による生存率の検討:C57BL/6マウスを用い、胸髄圧挫損傷モデルを作成した。損傷後1, 3, 7, 14日に、C57BL/6-Tg (グリーンマウス)大腿骨より採取したBMSCを損傷部に移植し、移植後1, 3, 7, 14, 28日の生存率を評価した。生存率は、損傷後早期(1, 3日)移植群が、亜急性期(7, 14日)移植群より有意に高く、損傷後3日にBMSC移植を行った群が最も高かった。移植後14日から急速に生存率は低下し、移植後28日にはほとんど残存していなかった。 ②抗IL-6抗体投与併用がBMSC生存率に与える影響:損傷後3日目にBMSCを移植した群を用い、損傷直後に抗IL-6抗体を腹腔内投与し、mouse IgGを投与した群(control群)と比較した。MR16-1併用群では生存率の上昇がみられ、特に移植後28日の生存率は、control群 1.2%、MR16-1投与群 17.8%と大きな差がみられた。損傷後7日以降で、有意な運動機能回復が得られた。また、control群では移植BMSCの分化傾向は確認されなかったが、MR16-1投与群では、NeuN (7.7%)、GFAP (4.8%)との二重陽性細胞がみられた。 今回の結果からは、急性脊髄損傷に対するBMSC移植至適時期は損傷後3日と考えられた。抗IL-6抗体投与は移植BMSCの生存率上昇効果および分化能への影響を及ぼし、移植有効性向上に寄与する可能性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BMSC移植の至適時期、抗IL-6受容体抗体投与による移植BMSCの生存率向上および運動機能改善効果がこれまでの研究で確認された。 これは交付申請書の記載した平成25年度の予定通りの進捗状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、移植BMSCの細胞死のメカニズムと、抗IL-6受容体抗体投与による組織修復効果・軸索再生効果・運動機能改善効果の検討およびメカニズム解明に関する研究を継続する予定である。 また、BMSC移植による神経障害性疼痛抑制効果についても検討を加える予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究は予定通り遂行されたが、設備品の消耗部品部分(IH impactorのbaseplateなど)の交換を要しなかったことなどが原因と考える 今年度余剰金は来年度に繰り越させて頂き、設備品の消耗部品部分の交換が必要な時や、そのほか追加の試薬・研究費が必要な際に使用したいと考える。
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Research Products
(5 results)