2013 Fiscal Year Research-status Report
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25462293
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
萩野 浩 鳥取大学, 医学部, 教授 (80208412)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リハビリテーション / 老化 / 骨粗鬆症 |
Research Abstract |
1.高齢者骨折発生頻度調査:2012年に受傷し、鳥取県内で加療を受けた大腿骨近位部骨折の全数調査を実施した。その結果、大腿骨近位部骨折の年齢階級別発生率は加齢とともに上昇し、70歳以降に指数関数的に急激に上昇していた。この発生率は以前に同地域で調査した結果と比較して上昇を認めた。さらに2012年に受傷し鳥取県西部(境港地域)で加療を受けた、橈骨遠位端骨折、上腕骨近位端骨折,臨床椎体骨折(有症性の骨折)の発生率調査を実施した。その結果、これらの骨折発生率は欧米白人に比較して低値であることが明らかとなった。 2.高齢者の転倒頻度と危険因子の解明:全人工膝関節置換術後に外来通院中であった60歳以上の74例を対象にベースライン調査(膝関節屈曲・伸展可動域、足関節背屈・底屈可動域、膝不安定性、膝伸展筋力)を行った。転倒危険因子として「膝関節屈曲可動域」と「足関節底屈可動域」が抽出された。 3.転倒予防のための運動介入:65歳以上の女性を対象として、歩行解析用フォースプレートを用いて,歩行速度,立脚期,同時定着期,初期接地期、前遊脚期を計測した。機能的電気刺激はPASシステムを用いて,刺激前に各歩行機能評価を実施後,個々の歩行スピードを求め,そのスピードに合わせてトレッドミル上にて機能的電気刺激を加えながら6分間の歩行を行なった。 4.骨形成反応に対する骨粗鬆症治療薬の影響: Wistar系ラット(リタイアドブリーダ,6ヵ月齢)を使用し、骨吸収抑制剤の投与量にしたがって4群に分け、脛骨4点曲げ負荷装置を使用して、麻酔下にラットの右脛骨に曲げ荷重によるメカニカルストレスを週3回3週間にわたって加えた。メカニカルストレス負荷部の脛骨標本を作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.骨粗鬆症性骨折の発生率と骨折患者背景因子の経年推移調査:2012年に発生した地域における大腿骨近位部骨折、橈骨遠位端骨折、上腕骨近位端骨折、脊椎椎体骨折の全数を調査することができ、発生率を明らかとした。さらに性・年齢階級別発生率を算出し、過去の報告との比較を実施した。 2.高齢者の転倒頻度と危険因子、再骨折防止の解明: 全人工膝関節置換術後の患者を対象として、その転倒発生率と転倒発生要因を検討した。その結果、転倒のリスク因子を明らかとすることができた。 3.骨折防止のための高齢者に対する新たな介入方法の解明:機能的電気刺激による介入を実施し、介入前後で歩行機能評価を行った。しかしながら、電気刺激による短期間での有意な変化は得られなかった。また、動物モデルでの骨刺激と骨形成の関連性を検討し、メカニカルストレスに及ぼす骨吸収抑制薬の作用の解析を実施している。 4.骨関節疾患を有する虚弱高齢者の骨折予防法の開発:転倒リスクの改善や運動療法による骨強度改善をめざして、介入方法の検討を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.高齢者骨折発生頻度調査:2013年に鳥取県内で加療を受けたすべての大腿骨近位部骨折の調査を実施し、性・年齢階級別の発生率を算出する。2011~2013年に発生した大腿骨近位部骨折の平均発生率推移を検討し、経年的な有意な変化の有無を検討する。さらに鳥取県西部(境港地域)で加療を受けた橈骨遠位端骨折、上腕骨近位端骨折,臨床椎体骨折についても3年間にわたる各症例の年齢階級別患者数の集計を実施して、発生率を明らかとする。さらに過去の調査結果を再解析して、同地域の経年的発生率推移を検討する。 2.高齢者の転倒頻度と危険因子の解明: 地域在住高齢者を対象とした調査を継続すると同時に、新たなコホートを対象とした調査を開始する。さらに、1年間の調査が終了した症例では身体機能評価結果、転倒発生歴と転倒リスクについて比較検討する。また転倒骨折のリスク因子が明らかとされれば、その改善のための対策、運動療法介入効果の検討を計画する。 3.転倒予防のための運動介入:前年度同様に、運動機能評価を介入前と介入後に行い、介入症例の蓄積を実施する。最終的な介入効果の解析を実施する。 4.骨形成反応に対する骨吸収抑制剤の影響:組織学的評価を実施して、運動療法と骨粗鬆症治療薬の相互作用に関して検討する。
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Research Products
(9 results)