2013 Fiscal Year Research-status Report
特発性側弯症の新規発症メカニズムに基づく動物モデル作成
Project/Area Number |
25462296
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
土井 俊郎 九州大学, 大学病院, 准教授 (60346799)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 思春期特発性側弯症 / 体幹変形 / 胸椎 / 健常人 |
Research Abstract |
思春期特発性側弯症の原因はわかっておらず、その病態解明は将来の治療法の開発に必須と考える。我々は、思春期特発性側弯症のモデルが存在しないことが研究進行の妨げになっていると考え、健常人のわずかな変化にその手がかりを見つけることができるのではないかと考えた。そこで、健常人1300名の立位胸部レントゲン計測を行い、胸椎右凸カーブの存在を確認した。その際、年齢を3-9才、10-19才、20-29才の各群間で比較を行ったところ、男女とも年齢の上昇とともに胸椎右凸カーブの増大を認めた。健常人のわずかな胸椎右凸カーブは、年齢とともに増大すること、右凸であることが思春期特発性側弯症と同様の特徴を有することが確認された。 さらに、健常成人女性(20-39才)の胸部CT画像を用いて、胸郭前後径、大動脈左方変位、胸郭回旋を計測した。それぞれの相関について調べたところ、胸郭前後径が減少した場合、大動脈が左方変位しており、さらに胸郭回旋がより強くおこっているという優位な相関を認めた。 以上により、思春期特発性側弯症の特徴である、①右凸側弯を生じること、②年齢とともに側弯が増強すること、③胸郭前後径が小さい場合により側弯が強いこと、④胸郭の回旋と側弯が相関することについて、健常人においても同様の変化を証明できた。これら健常人のわずかな体幹変形は思春期特発性側弯症の発症初期モデルとなり得る可能性が高いことが示されたと考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
思春期特発性側弯症の発症メカニズムを調べるにあたり、初年度は健常人において同様の体幹変形がおこっていることを、レントゲン、CT計測することにより確認、証明することを目的に研究を進めた。その結果、特に我々の仮説を裏付けるような結果が得られた。 本研究をマウスなど動物モデルへと発展させる基礎データが得られたと考えられ、順調に研究が進んでいると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
思春期特発性側弯症の発症初期モデルと考えられる健常人での体幹変形を調べることにより、胸郭の前後径の減少と胸椎カーブが相関することが明らかとなった。そこで、胸郭の前後系減少が直接側弯を生じることを、マウス、ラットなどの動物モデルを用いることにより証明していく。特に胸郭の前後径が減少することが心臓の圧迫を生じ、それが直接胸椎に影響することにより胸椎変形を生じ側弯を生じるのではないかと考えており、この点について動物モデルでの実験を進めていく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の研究成果を、雑誌Scoliosisに投稿予定であり、その論文査読等の費用に用いいる予定であったが、投稿時期が遅くなり本年度中に使用できなかった。 論文投稿時の原稿投稿費に用いる予定である。
|