2013 Fiscal Year Research-status Report
急性脊髄損傷におけるStem Cell Factorの神経組織保護作用機序
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25462297
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
米 和徳 鹿児島大学, 医学部, 教授 (40182844)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊間 春利 鹿児島大学, 医学部, 准教授 (10325780)
松田 史代 鹿児島大学, 医学部, 助教 (70437953)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 急性脊髄損傷 / 脊髄変性 / Stem Cell Factor / アポトーシス / Bcl-2 |
Research Abstract |
16週齢のオスWistarラットに麻酔薬を腹腔内に注入した後、第8,9胸椎を椎弓切除し、120gの重錘にて2分間硬膜上から脊髄に圧迫損傷を加え、完全横断脊髄損傷モデルを作成した。 作製した脊髄損傷ラットを無作為に損傷15分後にSCF(10μg/kg)を腹腔内に注入したSCF群、同量の生食を注入した対照群、SCFとBcl-2(図4)の阻害剤であるHA14-1(0.5mg/kg)を注入したBcl-2阻害群の3群に分けた。損傷24時間後と72時間後に実験動物を屠殺し、ホルムアルデヒドにて潅流固定後、損傷部脊髄を摘出した。摘出した組織をパラフィン包埋し標本を作製した。脊髄損傷を加えていないsham群の脊髄標本も同様に作成した。 得られた標本をHE染色、Nissl染色、ルクソールファストブルー(LFB)染色し、組織学観察を行った。H.E染色では、損傷後、後索に大きな血腫、出血、炎症性細胞浸潤が確認された。その程度は、いずれもSCF群が対照群に比較し軽度であった。また、脊髄横断面に対する血腫の割合の定量では、損傷24時間後、血腫の割合はSCF投与群において有意に小さく、損傷72時間後には差は無かった。Nissl染色では、損傷後、染色細胞の凝縮・縮小、染色性の低下が観察された。損傷24時間後に比較し、72時間後にはその傾向がより強くなった。その程度は、いずれもSCF群が対照群に比較し軽度であった。脊髄前角の染色細胞数は、損傷72時間後、sham群に比較し対照群では有意に低下したが、SCF群と比較し有意差は無かった。対照群とSCF群との比較では、SCF群が多い傾向にあった。LFB染色では、損傷後、白質の染色性は低下し、部分的に空胞変性が確認された。損傷24時間後に比較し、72時間後にはその傾向がより強くなった。その程度は、いずれもSCF群が対照群に比較し軽度であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初の計画通りに研究は実行され、予測された結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
アポトーシスの観察:TUNEL法(またはCleaved PARP染色)、抗活性型caspase-3染色を行い、陽性細胞数を計測することによりアポトーシス発現細胞数を3群で比較する。 Bcl-2の観察:抗Bcl-2染色を行い、陽性細胞数を計測することによりBcl-2発現細胞数を3群で比較する。 2重染色:抗神経細胞染色、抗アストロサイト染色、抗オリゴデンドロサイト染色と抗活性型caspase-3染色、抗Bcl-2染色の2重染色を行い、caspase-3とBcl-2の発現細胞を特定する。また、抗活性型caspase-3染色と抗Bcl-2染色の2重染色を行い、caspase-3とBcl-2の発現細胞数の関係を観察する。
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