2015 Fiscal Year Annual Research Report
ヘパラン硫酸脱硫酸酵素に着目した椎間板変性の病態解明と治療戦略
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25462316
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
根尾 昌志 大阪医科大学, 医学部, 教授 (80311736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 周平 大阪医科大学, 医学部, 助教 (20589840)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 椎間板 / ヘパラン硫酸 / 変性 / 加齢 |
Outline of Annual Research Achievements |
Sulf KOマウスは膝軟骨組織において加齢性の変化や関節症性変化が早期に進行することがこれまでの研究から明らかとなっていた。特にSulf-1 KOは、その変化がSulf-2より劇的に進行していたが、椎間板変性におけるSulf-1の役割についてはわかっていなかった。そこで、WTと、Sulf-1 KOの2歳齢までの椎間板組織学的変化をSafranin O染色を用いて観察した。 結果、生後1週では、WTに比べてSulf-1 KOでは椎体周辺軟骨様組織の菲薄化、終板のグルコサミノグリカン染色性低下、髄核の脆弱化などが観察された。生後2週と成長するにあたり、WTの終板は肥厚し、グルコサミノグリカン染色性の亢進、線維輪の構築などが見られたのに対し、Sulf-1 KOでは終板および線維輪の脆弱化が観察された。生後4週のWTは線維輪がより肥厚し、終板も骨化形成がみられるが、Sulf-1 KOでは脆弱な椎間板形成にとどまっていた。これらの変化は椎間板および椎体の形成においてSulf-1は重要な役割を果たしており、成長に重要なファクターであることが観察された。 加齢性変化において2歳齢マウスの椎間板を観察したところ、Sulf-1 KOの椎間板はWTに比較し、線維輪の構築が破綻傾向にあり、終板の骨形成も疎像で、髄核の密度も低く著明な変性が見られた。 これらのことから、Sulf-1は椎体の形成段階のみならず、加齢性の変化においても重要な役割を果たしていることが示唆され、Sulf-1は椎間板恒常性維持に不可欠な要素であることがわかった。
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