2015 Fiscal Year Annual Research Report
思春期特発性側弯症の原因と進行に関わる因子の解明と新規治療法の開発
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25462318
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Research Institution | Spinal Injuries Center |
Principal Investigator |
前田 健 独立行政法人労働者健康福祉機構総合せき損センター(研究部), その他部局等, 研究員 (80315077)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 特発性側弯症 |
Outline of Annual Research Achievements |
思春期特発性側弯症の原因や進行に関わる因子は殆ど解明されていない。また、進行予防のために装具治療が行われるが、その効果に関しても未だ議論が続いている。現在でも患者群の遺伝子解析が積極的に行われているが、単一の遺伝子からなる疾患とは考えられていない。我々は、側弯患者において有意に胸郭前後径が減少していることや、漏斗胸患者において側弯が高率に散見されることから、胸郭前後径の発育障害が側弯発症の一つの要因となり得るのではないかと考えた。これを証明するためには、再現性の高い動物モデルが必須であるが、これまで動物での側弯モデルは、いずれも外科的処置を加えての強制的な脊柱変形を生じさせるものであった。これまでの我々は、若年マウスに胸郭前後径のみを発育阻害するプラスチック装具を装着し、マウスに側弯が生じるかを検討した。その結果、装具を装着したマウスは発育性の右凸側弯がほぼ例外なく生じることが明らかとなった。特に重要なことは、成長が認められる10週齢までは側弯(Cobb角)の進行が認められ、成長終了後は側弯の進行が認められなかった。また、胸郭前後径、回旋角、Cobb角のいずれも相関関係を認めた。さらに、外科的に第6-12肋骨基部と椎体付着部で肋骨頭を切除したマウスに於いては、プラスチック装具装着にても側弯は発症しなかった。片側のみの肋骨頭を切除する実験を行ったが、装具装着なしでも側弯が生じ、特に右側を切除した場合は右凸側弯が、左側を切除した場合は左凸側弯が発症した。この知見は特発性側弯の発症が肋骨頭から椎体基部へかかる力学的な左右差が椎体の発症に関与していることを強く示唆していた。この力学的不均衡を3D-CTから算出する方法を試みているが、被爆量の問題もあり、呼気および吸気の胸部レントゲンから算出できないかを検討している。
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Research Products
(6 results)