2015 Fiscal Year Annual Research Report
骨軟部悪性腫瘍における核内受容体を介した腫瘍関連遺伝子発現の解析
Project/Area Number |
25462321
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
永澤 博幸 秋田大学, 医学部, 助教 (50375284)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 恭司 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10185431)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 骨軟部腫瘍 / 肉腫 / 脂溶性ビタミン / 核内受容体 / 細胞分化 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、骨軟部肉腫に対する、脂溶性ビタミンの抗腫瘍効果や同ビタミンの持つ細胞分化に関わる作用を検証し、肉腫の分化誘導療法の可能性を探る研究であり、平成27年度は以下の研究を行った。肉腫(間葉系細胞の悪性腫瘍)は癌腫(上皮性細胞の悪性腫瘍)と比較して、リンパ節転移をきたすことが比較的少ない。軟部肉腫の中でも類上皮肉腫と滑膜肉腫は、比較的リンパ節転移をきたしやすい。1. 滑膜肉腫細胞株HS-SY-II、類上皮肉腫細胞株HS-ES-Iを培養し、培地中に全トランスレチノイン酸(ATRA)、9-cisレチノイン酸(9cRA)を各々1 micro Mの濃度で添加し、8,14日間培養した。2. 培養期間終了後にvimentin(間葉系細胞に発現)、cytokeratin(上皮細胞に発現)およびCD44のmRNA発現を検討した。3. 両細胞株において、RA投与によりvimentinの発現は抑制され、cytokeratinおよびCD44の発現は促進された。4. これらの効果は、ATRAより9cRAの方が強い傾向にあった。平成25-26年度は、HS-SY-IIにおいて同様の手法によりRunx2, BGP, Sox9, COL2A1, PPARγ mRNAの発現を検討した。Runx2とBGP(骨芽細胞分化の指標)はATRAおよび9cRA投与により発現が促進される傾向にあった。Sox9とCOL2A1(軟骨細胞分化の指標)およびPPARγ(脂肪細胞分化の指標)も同様に促進される傾向にあった。上記実験でもATRAや9cRAの効果がより顕著であった。5. 以上より、これらの肉腫細胞株はRA投与により、未分化間葉系細胞から各種細胞への分化が促進されたと考えられる。また、ATRAと9cRAはそれぞれRAR、RXRという異なる核内受容体のリガンドであり、この分化は両受容体を介した経路によるものと推察される。
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Research Products
(1 results)