2013 Fiscal Year Research-status Report
生体親和性と力学的適合性を有するマクロヘテロ構造の人工関節の開発
Project/Area Number |
25462354
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
森山 茂章 福岡大学, 工学部, 教授 (00299538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳瀬 圭児 福岡大学, 工学部, 准教授 (20580187)
中村 好成 福岡大学, 医学部, 助教 (00551730)
前山 彰 福岡大学, 医学部, 助教 (20598156)
金 孝鎮 福岡大学, 工学部, 助教 (00568769)
大澤 恭子 福岡大学, 材料技術研究所, ポスト・ドクター (30638193)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 人工関節 / マクロヘテロ構造 / 力学的適合性 |
Research Abstract |
研究初年度においては,マクロヘテロ構造を有する人工関節用材料の基礎的研究を行った.具体的には「三次元CT画像から骨の力学的性質の抽出」,「マクロヘテロ構造の基本設計手法の確立」,「マクロヘテロ構造の最適化手法の確立」を検討した.三次元CT画像における骨の力学的性質の抽出においては,全人工股関節置換術後の三次元CT画像より骨部の骨密度を求め,骨密度より弾性係数を推定した.この結果およびステムのCADデータを用いることにより,骨-金属ステムにおけるの三次元力学解析を行い,弾性係数の分布を有する骨および単一材料からなるステムの応力解析が可能となった.マクロヘテロ構造の基本設計においては,電子ビームによる三次元造形で作成した複雑形状のチタン骨格と製作が容易なエポキシ樹脂を組み合わせた試験片を複数試作し,マクロヘテロ構造の材料が作成可能であることがわかった.また試作した試験片を用いて単純な力学的材料試験を行い,弾性係数などの基礎的物性値を調べた.その結果,三次元造形されたチタンの骨格構造の形状の違いにより弾性係数が大きく変化することが確認され,骨格形状により弾性係数を制御できる可能性が見出された.マクロヘテロ構造の最適化においては,数値シミュレーションにおいて単純な骨構造に荷重を加え,初期形状を三次元的に変更することにより,発生する応力を均一化できる複雑な骨構造の形状を決定することが可能であった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究初年度において予定していた研究内容は,「三次元CT画像から骨の力学的性質の抽出」,「マクロヘテロ構造の基本設計手法の確立」,「マクロヘテロ構造の最適化手法の確立」である.三次元CT画像から骨の力学的性質の抽出においては,全人工股関節置換術後の三次元CT画像において,骨密度より弾性係数の推定が可能となった.術後の画像を使用したことにより金属アーチファクトの影響や境界条件の確定など課題は残るが,おおむね目標を達成している.マクロヘテロ構造の基本設計手法の確立においては,実際に単純試験片を作成し,材料試験を行い材料特性を評価することが可能となったが,数値シミュレーションにより得られた結果との乖離が確認された.これは,シミュレーションにおける金属チタンと樹脂間の境界条件の設定が大きな影響を与えていると推測されるため,材料試験を繰り返すことにより適切な境界条件を再検討する必要がある.マクロヘテロ構造の最適化手法の確立においては,金属チタン単体における最適化は可能となった.しかし,樹脂との複合材料においては,境界条件の問題もあり,マクロヘテロ構造の最適化には至っていない.以上より,研究初年度の課題について基本的な手法の確立および試験片の製作は達成されたが,シミュレーションや最適化において目標より若干遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目以降は初年度において可能となった三次元CT画像における応力解析を引き続き行うことにより,力学的適合性の高いステムの設計目標を決定する.試験片を作成し材料試験を繰り返すことにより,研究初年度において問題となったチタンと樹脂間の境界条件を確定することを研究目標とする.また本結果を使用して,樹脂とチタンが一体化したマクロヘテロ構造の形状最適化を行う.現在樹脂材料としてエポキシ樹脂を使用しているが,より強度の高いポリエーテルエーテルケトンなどの樹脂材料の使用を検討する.実際にステムを試作することにより,人工関節材料におけるマクロヘテロ構造の優位性を示す.
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Research Products
(13 results)