2015 Fiscal Year Annual Research Report
関節リウマチ患者の骨質異常と脆弱性骨折リスク増加の病態
Project/Area Number |
25462357
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高畑 雅彦 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40374368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須田 廣美 (木村―須田) 千歳科学技術大学, 理工学部, 教授 (00574857)
東藤 正浩 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10314402)
網塚 憲生 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30242431)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / ステロイド / 骨粗鬆症 / 骨質 / 骨脆弱性 |
Outline of Annual Research Achievements |
関節リウマチ(RA)患者の骨脆弱性と骨質異常の関連を調査した. 慢性的にステロイド剤を投与されているRA長期罹患患者では閉経後骨粗鬆症患者と比較して有意に力学的強度が低下しており,脆弱性骨折の既往も多かった. DEXA法で計測した腰椎,大腿骨近位部の骨密度は二群間で有意差はなかったことから,対象症例における骨脆弱性の違いは,骨微細構造の劣化や石灰化障害による骨質異常が原因であると考えられた. 骨代謝状態を骨型アルカリフォスファターゼ(BAP)と酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ5b (TRACP-5b)で評価した.RA群はNon-RA群と比較してBAPでは差がないもののTRAP-5bの有意に抑制されていた.腸骨生検サンプルの免疫組織学的検討でも,ALP陽性成熟骨芽細胞の分布に明らかな変化はなかったが,TRAP陽性細胞数はRA群で有意に少なかった.これはRA群において骨吸収抑制剤使用例が多いことを反映していると考えられた.骨微細構造は,腸骨生検サンプルのマイクロCT画像で評価した.三次元的形態計測による海綿骨構造の定量的評価の結果,組織量に対する海綿骨量,骨梁幅,骨梁数,骨梁間幅の減少,板棒状指標,骨梁連結性がRA群で有意に劣化していた.組織学的評価においてRA群では骨細胞の萎縮が多数観察されるとともに,空の骨小腔の割合がRA群で有意に多いことがわかった.骨基質の石灰化度をフーリエ変換赤外分光イメージおよびVon Kossa染色組織標本で評価したところ,RA群では石灰化度が低下していた. 副次的な知見として,臨床骨折評価ツールであるFRAXスコアが,骨密度や骨代謝マーカー,骨微細構造指標よりも,骨の力学的強度や既存骨折の数や程度と強く相関することがわかった.すなわち,ステロイド剤を使用しているRA患者の骨折リスクの評価にFRAXスコアが有用であることが示唆された.
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Research Products
(3 results)