2014 Fiscal Year Annual Research Report
変形性関節症治療への応用を目指したS100A1、S100Bの機能解析
Project/Area Number |
25462359
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 滋之 東京大学, 医学部附属病院, 臨床登録医 (10645857)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 琢 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (30456107)
篠田 裕介 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80456110)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | S100 / 変形性関節症 |
Outline of Annual Research Achievements |
先行研究で我々はS100A1・S100Bはin vitroで肥大分化・石灰化を抑制する作用を持つ事を見出していた(EMBO Rep. 2007;8:504-9.)。これを踏まえ、本研究では、S100A1・S100Bのダブルノックアウトマウスを作出し、骨格系の発生の詳細な解析を行った。 軟骨原基の形成される胎生12.5日から性成熟に達する8週齢に至るまで、骨格標本の作製・X線による骨格の撮影、組織切片の作製によって骨格系を解析したが、S100A1・S100Bダブルノックアウトマウスの骨格系の発生には野生型と比して明らかな差が無かった。 S100A1・S100Bのダブルノックアウトマウスの骨格系の発生に関して表現型が無かった原因として、他のS100ファミリー遺伝子が代償性に発現亢進している可能性を考えた。野生型、及びS100A1・S100Bのシングル及びダブルノックアウトマウスの肋軟骨を採取し、遺伝子発現解析を行った。しかし予想に反し、ノックアウトマウスで発現亢進しているS100ファミリー遺伝子は見いだせなかった。しかし、S100A2,A4,A11等、S100A1・S100Bのノックアウトの有無に関わらず、軟骨組織で強く発現しているS100ファミリータンパクが存在していた。これらの遺伝子を軟骨系細胞株ATDC5で強制発現させたところ、肥大分化・石灰化を抑制する作用を示した。以上の事から、S100A1・S100B以外にも肥大分化・石灰化を抑制する作用をもつS100ファミリータンパクが軟骨細胞には存在しており、それらがS100A1やS100Bのノックアウト時にも作用を発揮している可能性が示唆された。 病的状態でのS100A1・S100Bの作用については、OAモデルを用いたin vivo実験が未だ終了していない。今後の研究でより詳細に解析しようと考えている。
|
Research Products
(1 results)