2013 Fiscal Year Research-status Report
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25462369
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
樋口 周久 大阪大学, 保健センター, 助教 (40432421)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 炎症シグナル / Btk / MAPK |
Research Abstract |
我々は、免疫系組織を構成するB細胞に重要な役割を果たしているB cell antigen receptor (BCR) シグナル伝達系の構成タンパクであるspleen tyrosine kinase(Syk)が、骨芽細胞や間葉系幹細胞様の性質をもつ骨髄間質細胞に発現していることを確認、報告し、同時にSykが骨芽細胞分化の負の制御因子であることも報告した。この報告ではさらに、骨芽細胞におけるSykシグナル伝達系の下流に、以前我々が報告してきたMAPKやPKCが関与している可能性を示した。これらのことから、これまでの我々の一連の研究が更なる免疫系シグナルと骨形成との接点とその広がりを示唆していると考えられたため、BCRシグナル伝達系を構成する別のタンパクであるBruton’s tyrosine kinase(Btk)について、骨芽細胞や間葉系細胞における発現とその機能について検討した。Btk阻害剤は、マウス前骨芽細胞株MC3T3-E1、マウス骨髄間質細胞株ST2およびマウス頭蓋冠より採取した骨芽細胞の骨芽細胞分化を促進(骨芽細胞分化マーカーであるアルカリフォスファターゼ、オステオカルシンmRNA発現の亢進と細胞外基質石灰化促進)することを見出した。また、阻害剤の効果を確認するためにBtkのRNAiによるノックダウン実験を行い、Btkノックダウンによっても骨芽細胞分化促進を確認することができた。一方、ICRマウスを用いたヒトBMP-2含浸コラーゲンコンポジット移植による異所性骨形成においては、Btk阻害剤の腹腔内投与は消化管障害を引き起こし、十分な異所性骨形成促進作用の解析は困難であった。このため、動物実験における骨形成促進作用の解析は、他の実験系を用いる必要があると考えられ、再考を要した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炎症シグナルとしてのBtkやMEK5の骨芽細胞への作用の解明については、ほぼ結果が得られている。このため、今後は他のシグナル系やキナーゼなどの骨芽細胞分化に対する影響を解析していく予定であり、さらなる炎症系シグナルと骨形成の関連を解析しうるため。
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Strategy for Future Research Activity |
炎症系シグナルに関与するキナーゼ等の骨芽細胞分化への作用を予備実験にて確認している。これらを踏まえて、今後はこれらのタンパクの骨芽細胞分化への影響をRNAi実験や阻害剤実験を通じて解析予定である。時間的経済的に可能であれば、動物実験も開始したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の実験結果をまとめ、論文投稿を準備していたため、相対的に実験、特に動物実験を行うことが少なかった。このため、今年度想定してたより実験の消耗品使用が少なく、次年度使用額が生じたと考えている。 すでにいくつかの実験ターゲットとなる分子を同定しており、これを同時に解析していくこととなる。このため、次年度には以下の実験により消耗品を多量に使用する予定である。 In Vitro実験では、骨芽細胞株およびBMPを作用させることにより骨芽細胞分化することが示されている骨髄間質細胞株ST2を用い、阻害剤およびRNAiによる機能阻害とウイルスベクターによる過剰発現を行い、ターゲット分子の機能解析予定である。In Vivo実験では、水溶性阻害剤によるBMP-2含浸ペレットによる骨形成実験と骨粗鬆症モデルや骨折モデルマウスによる骨形成実験を予定している。
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Research Products
(1 results)