2015 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス応答分子としてのRhoファミリータンパク質の機能と関節変性反応への関与
Project/Area Number |
25462388
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
福田 寛二 近畿大学, 医学部, 教授 (50201744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺村 岳士 近畿大学, 医学部附属病院, 講師 (40460901)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 軟骨細胞 / Rho/ROCK / ストレス / 変形性関節症 / Nrf2 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢社会の到来に伴い変形性関節症(Osteoarthritis, OA)の有病率が増加しており、その治療は大きな社会的課題となっている。軟骨変性により生じた荒廃関節に対し、関節形成術が行われ一定の臨床成績が得られているが、患者負担軽減のためには軟骨変性を予防、もしくは改善させる薬理的アプローチが今後目指すべき方向性であると考えられる。これまでに蛋白分解阻害剤(TIMP)をはじめ、多くの疾患修飾薬剤が報告されたが、臨床応用に至った薬剤は存在しない。本来OAは機械的ストレスを要因として発症する疾患である。そこで本研究では、軟骨細胞内ストレス伝達機構を改めて検討することにより、新規薬剤の開発につながる知見を得ることを目的とした。研究初年度は、軟骨細胞における低分子Gタンパク質Rho/Racシグナルの重要性を示した。一方で、Rho/Racは極めて上位に位置する分子ゆえ、直接介入することにより副次作用を示す可能性も示唆されたため、1)負の作用を引き起こしうる経路かつ2)ストレスとRho/Racシグナルを直接遺伝子発現に伝達しうる経路を考えた。本研究では、条件を満たす分子としてTAK1、ASK1、さらにストレスに対抗する分子としてNrf2を検討し、①ストレス依存的なTAK1の活性化は滑膜炎の原因となりうること、②TAK1の活性化は細胞の増殖を誘導すること(軟骨におけるクラスターの発生に関連すると考えられる)、③Nrf2はヒアルロン酸により安定化し、抗ストレス作用を示すとともに軟骨基質の発現を誘導することを見出した。
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