2015 Fiscal Year Research-status Report
マウスの心肺停止を用いた全脳虚血に対するフルオキセチン投与長期予後の検討
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25462398
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田口 典子 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (90569774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 慎 筑波大学, 医学医療系, 講師 (60596443)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 全脳虚血 / 心肺停止 / 神経保護 / フルオキセチン / 神経新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスにおける心肺停止モデルにおいて、セロトニン再取り込約阻害薬(SSRI)の一種であるフルオキセチン(10mg/kg)は蘇生後3日目における脳障害を軽減する。本研究の目的はその長期予後について検討することである。 25年度 蘇生14日後の生存率が低く、それ以降の研究を施行するに当たり再度実験モデルを検討する必要があった。このため、麻酔方法、虚血時間などを変更することで、脳障害を誘発し、かつ生存率が最低40%以上になる方法を模索した。 26、27年度 前半は実験モデルの検討を継続し、蘇生14日後の生存率が目標値に達する方法を確立した。その後、蘇生7日、14日後の脳障害にフルオキセチンが与える影響を検討した。フルオキセチン群もしくはコントロール群の2群に分けたマウスに心肺停止の後蘇生を行い、循環再開30分後にフルオキセチン10mg/kgまたは生理食塩水を腹腔内投与した。蘇生7日後または14日後に行動機能評価を行い、その後脳組織評価を施行した。組織評価では虚血後14日後には、7日後まで認めていた線条体における残存神経細胞の温存効果は消失していた。しかし、フルオキセチン群では受動的回避試験において、蘇生14日後に有意に記憶機能の回復を認めたのに対し、コントロール群では、回復を認めなかった。また、蘇生14日後の組織評価において、新生神経細胞の指標となるdoublecortin陽性細胞数がフルオキセチン投与によって有意に増加していた。これは、虚血後一回投与したフルオキセチンが神経新生を促進させた可能性を示唆する。 今後は、今回確認した記憶機能の回復と神経新生の関連について、また、フルオキセチンがこれらの作用を招く機序について検討していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2015年後半は実験室の耐震工事のため、実験実施場所の引っ越しが行われ、安定した結果を導く実験は不可能だった。
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Strategy for Future Research Activity |
安定した実験環境が整い次第、それまでの実験結果の確証を得るため、また作用機序の解明のために、BDNFの測定、セロトニンレセプター阻害薬投与後の結果などを検討する。
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Causes of Carryover |
2015年度後半は実験室の耐震工事のため、実験実施場所の引っ越しが行われ、安定した結果を導く実験は不可能であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度までに得られた結果の確証を得るため、また作用機序の解明のために、セロトニン阻害薬投与後の結果を検討する。
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