2013 Fiscal Year Research-status Report
アドレノメデュリンの循環作用と麻酔薬-作用機序の解明と敗血症における意義-
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25462399
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
黒田 昌孝 群馬大学, 医学部附属病院, 講師 (30375555)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アドレノメデュリン / セボフルラン / プロポフォール |
Research Abstract |
アドレノメデュリン(ADM)は、心不全、心筋梗塞、敗血症、ショック、腎不全、高血圧などの心血管系が障害される様々な病態において血中に分泌され、心血管系、腎、呼吸器系などのホメオスターシスを維持するのに重要な役割を担っており、その作用は強力な血管拡張作用、陽性変力作用の他、抗炎症作用、臓器保護作用、血管新生作用など多岐に及ぶ。特にADMと敗血症の病態との関連においては、重度な血圧低下の原因となる可能性があるが、炎症性サイトカインの産生の抑制や内皮細胞機能障害の抑制、さらにその血中濃度の増加は予後悪化と関連することが基礎および臨床分野で報告されており、治療的側面における可能性も考えられている。ADMにはサブタイプが存在し、哺乳類に存在するのはADM1,2,5の3種類である。われわれはこれまでにADM1による循環作用に対し、揮発性麻酔薬が抑制的に作用することを報告した。今回の研究では、ADM1と比較してより多様な生物学的効果や強力な作用強度を持ち敗血症の病態にもより関連性の深い可能性があるADM2およびADM5について、その循環作用および細胞内情報伝達系への麻酔薬の影響を、ラットおよび培養細胞を用いて検討する。 現在臨床使用している揮発性麻酔薬セボフルランおよび静脈麻酔薬プロポフォールがADM2およびADM5の循環作用に及ぼす影響を検討するために、中枢破壊ラットモデルにおける種々の循環動態パラメータを測定し比較検討した。セボフルランはADM2による血圧低下を抑制する傾向がみられたが、プロポフォールによる有意な効果はみられなかった。今後さらに数を増やして検討し、さらに中枢破壊ラットにおけるADM5についての検討、ADM2およびADM5の細胞内情報伝達系への麻酔薬の影響を培養細胞SK-N-MCを用いて検討、敗血症モデルにおける検討を加えていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
麻酔薬がADM2による循環作用に及ぼす影響を検討するために、中枢破壊ラットモデルにおける種々の循環動態パラメータを測定し比較検討した結果、セボフルランによる抑制効果を見いだすことができたが、プロポフォールによる効果およびADM5による検討、さらに麻酔薬のADM2およびADM5の細胞内情報伝達への影響について培養細胞SK-N-MCを用いた作用機構の検討が未解析である。安定したラットモデルの作成に苦慮したことや研究時間が限定的であったことが理由と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
中枢破壊ラットモデルにおけるADM2およびADM5による種々の循環動態パラメータの変化に及ぼす麻酔薬の影響に関する検討を、引き続きセボフルランについて行い、静脈麻酔薬プロポフォールについても検討する。 内因性にCRLR受容体を有する培養細胞SK-N-MCを用いた細胞内情報伝達に及ぼす麻酔薬の影響、およびラット敗血症モデルにおける、ADMを含む各種炎症メディエータの産生・血行動態・内皮細胞機能および死亡率に及ぼす麻酔薬の影響を検討についても予定されているが、研究時間の確保状況により細胞内情報伝達における作用機序の検討に重点を置いて行く予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の研究計画の中で、主に研究時間が限定的であったために予定通りの施行ができなかった事項が複数存在したため使用額が請求額に満たなかった。 今年度の未実施事項について次年度も引き続き検討を加えるために使用し、さらに次年度の研究計画を遂行していく。
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