2013 Fiscal Year Research-status Report
脳低温による脳保護効果と免疫細胞の時系列的IL-23-IL-17産生との関連
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25462403
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松井 智浩 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50314828)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脳低温療法 / T細胞 / IL-17 / グランザイムB / ニューロン死 / 低温培養 / 高温培養 |
Research Abstract |
脳虚血等による脳損傷後、T細胞は遅発性に脳内に浸潤し、炎症性サイトカインや蛋白分解酵素等の神経傷害性因子を放出することで脳障害増悪に関与する。これらの増加は末梢性にも認められることから、末梢-浸潤T細胞の神経傷害性因子は脳障害の治療ターゲットになる可能性がある。脳低温療法は脳障害時に脳温を32~34℃の低温にすることで、脳保護効果を期待する治療法であり、これらの産生を低下させる機序が考えられる。本年度は、末梢性T細胞のインターロイキン(IL)-17とセリンプロテアーゼであるグランザイムB(GrB)産生に低温・高温が及ぼす影響を調べ、また、それらの因子の脳内障害的作用をニューロン死で評価した。その結果、CD4+およびγδT細胞のIL-17産生並びにCD4+、CD8+およびγδT細胞のGrB産生は、IL-1β/IL-23の添加により増強し、37℃に比べ33℃では低値、39℃では高値を示した。また、IL-17とGrBは濃度依存的にニューロン死を誘導した。よって、脳低温療法は、T細胞のIL-17とGrB産生を低下させ、遅発性にもニューロン死抑制効果をもたらすと考えられた。更に、温度依存性変化を示したIL-17とGrBは、低温下での脳保護効果や高温下での脳障害増悪の病態把握のためのバイオマーカーになりうることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳損傷時には末梢性T細胞が脳内に浸潤し、神経傷害性因子産生を介して、脳障害増悪に関与するが、その産生に低温・高温の及ぼす影響は不明であった。本年度はこのことを調べるのが目的であり、その結果、T細胞の神経傷害性因子であるIL-17とグランザイムBの温度依存性を証明できた。よって、研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は脳低温療法の適応となる低酸素性虚血性(HI: Hypoxic-Ischemic)脳障害のモデルマウスを用いて、今までに得られたin vitro結果をin vivoで証明していく。 具体的には、HI脳障害マウスを低温(33℃)・常温(37℃)・高温(39℃)下に24時間置き(全身性脳低温・脳高温を誘導)、経時的(低温・高温開始後3-6-12-24時間および2-3-5-7日)に障害脳を取り出す。神経傷害性因子発現は次の2つの方法を適宜使用する。1)障害脳から単細胞懸濁液を作製し、マイクログリアやT細胞を分離する。その後、それらの細胞からRNAを抽出し、各神経傷害性因子mRNA発現を調べる。2)障害脳から単細胞懸濁液を作製し、各細胞および各神経傷害性因子に対する抗体を用いて細胞内サイトカイン発現(%)を調べる。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Spinal cord ischemia/injury2014
Author(s)
Toshizo Ishikawa, Hidenori Suzuki, Kozo Ishikawa, Seiko Yasuda, Tomohiro Matsui, Misa Yamamoto, Takahiro Kakeda, Satoru Yamamoto, Yuji Owada, Tony L. Yaksh
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Journal Title
Curr Pharm Des
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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