2013 Fiscal Year Research-status Report
周術期低酸素虚血後の脳白質傷害の発生機序解明と再生療法開発
Project/Area Number |
25462410
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
加古 英介 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (70464576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹野 寛 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20215742)
祖父江 和哉 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90264738)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 再生医療 / オリゴデンドロサイト / 脳傷害 / 新生児 |
Research Abstract |
周術期の脳白質傷害は、近年注目されている病態である。特に小児における周術期の脳白質傷害は比較的頻度が高く、脳性麻痺などの障害の原因となることが報告されており、周術期の合併症として解決すべき問題である。白質は脳の中でも虚血による障害を受けやすいとされるが、白質傷害の機序は明確ではなく、現在のところ有効な治療法はほとんどない。本研究では、脳白質を構成するオリゴデンドロサイトに注目し、周術期の脳白質傷害の発生機序を解明し、脳の自らの再生機構(特に神経幹細胞からのオリゴデンドロサイト再生)を利用した再生医療による治療法開発を目指す。 マウス脳白質傷害モデルを確立し、安定的に作成することができた。新生児マウスの片側総頸動脈を焼灼後低酸素チャンバーへ置き、モデルを作成した。組織学的に脳白質の傷害が発生することを確認した。障害の強度と範囲のほぼ安定したモデルを確立した。オリゴデンドロサイトのマーカーOlig2とアポトーシスマーカーを染色することにより、オリゴデンドロサイトのアポトーシスが発生していることを確認した。また、脳室下帯においてオリゴデンドロサイトの前駆細胞が増加し、白質傷害部位へ移動することが明らかとなった。しかしながら、移動後にオリゴデンドロサイトへの分化が進まないことを明らかとした。 以上のことより、新生児期の脳虚血によりオリゴデンドロサイトの傷害が発生し、オリゴデンドロサイト前駆細胞が傷害部位へ誘導される内在性の再生機構が誘導されることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに研究は進行している。計画したマウス脳白質傷害モデルを安定的に作成できるようになり、自己再生機構が誘導されることが明らかにできた。 よっておおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
傷害部位へ移動したオリゴデンドロサイト前駆細胞が分化しないことが明らかとなったため、分化促進物質の発見を目指す。培養リゴデンドロサイト前駆細胞を用い、これまでに報告のある様々な細胞分化促進物質をスクリーニングし、分化を誘導する物質を明らかにする。研究に問題が生じた場合には、研究分担者からの助言を的確に求め、円滑な研究の遂行を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画では、成人マウスにおける低酸素による脳虚血モデルの作成を目指していたが、新生児モデルの解析を優先したため、作成が遅れている。成人モデルの作成を次年度行うため、研究費の繰り越しを必要とする。 次年度に速やかに成人モデルの作成を行う。成人マウスにおける低酸素による脳虚血モデルの作成およびその解析を速やかに遂行する予定である。
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Research Products
(1 results)