2013 Fiscal Year Research-status Report
星状細胞内カルシウムシグナル伝達を介する高血圧時微小脳血流調節と麻酔薬作用の解明
Project/Area Number |
25462412
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
中畑 克俊 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (70332971)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 妊娠高血圧症候群 / 脳血管 |
Research Abstract |
脳内局所の血流は、神経血管カップリング機構を介しニューロンの活動に呼応してリアルタイムに制御されている。ニューロンと脳血管の間に介在する星状神経膠細胞が、この血流制御機構の中心的役割を果たしていることが近年明らかになりつつあるが、高血圧病態時に星状神経膠細胞を介する脳血流調節機構がどのように障害されるか、また麻酔薬がこれら病態時の脳血流調節にどのような影響を及ぼすかについては未だ明らかにされていない。本研究では、自然発症型高血圧および妊娠高血圧モデル動物を用い大脳皮質内微小細動脈の収縮拡張反応を観察することを目的とした。 本研究では、自然発症型高血圧マウスおよび妊娠後期の雌ラットを実験に用いた。動物を用いたすべての実験については申請者所属施設の実験動物に関する倫理委員会の承認を予め得た。妊娠後期に血圧の上昇を来す子癇前症モデルを作製するにあたっては、一酸化窒素合成酵素阻害薬であるnitro-L-arginine(L-NAME)0.7 g/L/7daysを飲料水に混ぜて妊娠後期(妊娠14~20日)に飲水させた。妊娠20日以降に高血圧(>140/90 mmHg)を確認することで、子癇前症類似の病態を作製できたことを同定した。対照として、同量のL-NAMEを飲ませた同年齢週数の非妊娠ラットおよびL-NAME を処置しない妊娠・非妊娠雌ラットを用いた。妊娠高血圧ラットおよび対照妊娠ラットから作製した脳スライス標本において、プロスタグランデインF2α(0.5μM)で標本中の動脈を収縮させたのち、アセチルコリンによる血管拡張反応を観察した。局所の脳血流調節に直接関係する血管は脳実質内に埋没する脳細動脈のみであることから内径10 micrometer以下の脳実質内微小血管を対象とした当研究の学術的意義は大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、妊娠後期のラットを用い妊娠高血圧モデルを最初に作製することが重要である。その後、脳組織を摘出し大脳スライス標本内の微小動脈とその周囲に位置する星状神経膠細胞を共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察を行い、一酸化窒素合成およびカリウムチャネルを介した脳微小血管拡張反応について検討を行うことを目的とした。 25年度は、妊娠高血圧モデルの作製に多くの時間を要したがこれに成功している。また、このモデルラットから摘出した脳組織からスライス標本を作製し、微小動脈を顕微鏡下に観察することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、25年度に得られたデータの解析結果をまとめる予定である。また外因性一酸化窒素に対する拡張反応をみるためニトロプルシドを用い血管拡張反応をそれぞれの実験ラットで観察する。カリウムチャネルを介する血管拡張反応を妊娠高血圧ラットおよび対照ラットで観察する。各種カリウムチャネル拮抗薬を用い、各種カリウムチャネル作用薬による脳微小血管の拡張反応を観察する予定である。
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