2016 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the mechanism of the volatile anesthetics and the influence on the developing brain in the neural network.
Project/Area Number |
25462415
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
西村 欣也 順天堂大学, 医学部, 教授 (80164581)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 電気生理 / 吸入麻酔薬 / セボフルラン / 過分極活性化陽イオン電流 / 線条体 |
Outline of Annual Research Achievements |
過分極活性化陽イオン電流(Ih)は主に心臓や中枢神経系において発達や周期的な調律形成に重要な役割を担っており,不整脈やてんかん・神経障害性疼痛との関連も指摘され,治療薬の標的としても近年注目を集めている.研究材料として出生後早期のマウス脳スライスを用いて基底核のひとつである線条体でのCholinergic interneuronに対してwhole-cell patch clamp法を中心に電気生理学的手法を用い,成長発達に伴うIhの変化を観察,併せて小児麻酔で使用される頻度の高い吸入麻酔薬セボフルラン投与による影響を検討した.Cholinergic interneuronは線条体のアセチルコリン分泌を司り,運動調節や認知機能において重要な役割を担うと共に,視床から多くの入力を受け感覚応答にも関与するとされている.そこで,日齢7~28のマウス線条体Cholinergic interneuronにおいて観察したところ,日齢増加に伴う神経細胞膜の状態変化とIhの絶対値増加を認めた.また,臨床において一番使われている吸入麻酔薬セボフルランは濃度依存性にIhを抑制し,Ih 活性化抑制によるactivation curveの偏位を認めた.また,内向き整流性カリウムチャネル電流(Kir)は中枢神経系の調律形成にIhと同様に重要と考えられているが,Kir遮断薬であるバリウムを用いた実験結果からセボフルランのKirへの直接作用は小さく,またセボフルランのIhに対する作用へのKirの影響は小さいことが示唆された.さらにセボフルランは感覚応答に重要とされるCholinergic interneuronのrebound activationを抑制した.また,電気生理学的仕法のひとつであるcell-attached recordingsの解析も行ったが,Ihが関与する生理的条件下での発火頻度を変化させることが観察された.これらの結果からセボフルランによるIh抑制は出生後早期の線条体における神経ネットワークに影響を及ぼす可能性があることが示唆された.
|
Research Products
(1 results)