2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25462420
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森本 裕二 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00250457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 温之 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10194979)
橘 かおり 北海道大学, 大学病院, 医員 (50374468)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 術後認知障害 / 神経炎症 / 海馬 / サイトカイン |
Research Abstract |
手術後の認知機能障害の機序について、最近、手術侵襲により脳内、特に海馬での各種サイトカインが増加し、それによって惹起される神経炎症が主たる原因とする報告がなされている。 本年は海馬シナプス伝達の長期増強(long-term potentiation: LTP)に対するIL-1βの抑制効果について検討を行った。 3-5週齡のマウス(C57BL/6J)を使用し、厚さ300μmの海馬切片を作成して実験を行った。過去の報告(Bellinger et al. Brain Res 1993;628:227-234)をもとにSchffer側枝-CA1シナプスに対するIL-1βの灌流投与によるLTP抑制効果を確認した。刺激電極、記録電極をともにCA1の放線層に刺入し、30分間、IL-1β(1 ng/ml)を灌流投与した後に高頻度刺激(100Hz, 1秒間×3回, 0.05Hz)によりLTPを誘導したところ、control群と比較しIL-1β群では有意にLTPが抑制されBellingerらの結果を再現することができた。 次に、IL-1βによるLTP抑制効果のシナプス特異性を検討するため、苔状線維-CA3シナプスに対して同様にLTP抑制効果の確認を行った。刺激電極を歯状回顆粒細胞層、記録電極をCA3透明層に刺入した後、高頻度刺激(100Hz, 1秒間×1回)によりLTPを誘導したところ、control群とIL-1β群でLTP抑制効果に有意差は認めず、過去の報告(Katsuki et al. Eur J Pharmacol 1990;181:323-326)とは異なる結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最初の2年間は海馬シナプス伝達の長期増強に対する各種サイトカインの抑制効果とその機序を計画しており、上述のようにすでにデータが取得し始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
IL-1βがLTPを抑制する機序として、グルタミン酸レセプター(イオンチャネル共役型および代謝型)やカルシウムチャネル、細胞内情報伝達系としてはサイクリックAMPや分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(Mitogen-activated Protein Kinase、MAPK)などの関与が指摘されているが、詳細には分かっていない。その抑制のメカニズムについて、神経生物学分野で現在行われているパッチクランプや蛍光イメージング、光操作などの機能解析法を駆使して、検討していく。 また、TNF-αなどのその他のサイトカインの影響も検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度では、849円の未使用額が発生した。これは平成25年度末に購入した物品の支払いが平成26年4月に支払われることになったため、生じたものである。 平成26年5月現在では未使用額はない。
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