2013 Fiscal Year Research-status Report
PI3K/Akt経路からみた高用量インスリンの心筋プレコンディショニング効果
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25462429
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小口 健史 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (60201399)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | インスリン |
Research Abstract |
虚血心臓において高用量インスリンを投与すると心機能が改善するとされるが、その作用機序は未だ不明である。本研究では、「高用量インスリンがPI3K/Akt経路を介して心筋保護効果を発揮する」との仮説をたて検証することを目的とした。 本年度は、高用量インスリン(0.5 unit/L)の心筋虚血に対するプレコンディショニング効果について、TNF-αの面から検討した。ラットから摘出した心臓に大動脈・肺静脈・肺動脈カニュレーションを行いLangendorff 法にて灌流を行い、肺静脈からバルーンカテーテルを左心室内へ挿入して左心室圧(LVP)を測定した。LVPから左室dP/dt maxを求めて、心収縮能の指標とした。経時的に採取したcoronory effluentのTNF-αを Rat-ELISA Kitを用いて測定した。上記のラット摘出心臓標本において、Non-flow ischemiaによる虚血再灌流実験を行い、対照群と高用量インスリン群の間で、心機能の回復・TNF-α産生量を比較した。 その結果、高用量インスリンを虚血前に投与した場合、虚血再灌流時の心機能の回復が有意に上昇した。虚血再灌流後のcoronory effluent中のTNF-α濃度は、高用量インスリンを虚血前に投与した群において低値であった。更に、高血糖が高用量インスリンのプレコンディショニング効果に及ぼす影響についても現在検討を進めている。 以上の結果から、高用量インスリンの心筋虚血に対する心筋保護効果は虚血前に投与した場合に認められ、プレコンディショニング効果を有することが示唆された。心臓外科手術において高用量インスリンを使用する新たな根拠が得られ、更に虚血性心疾患患者の麻酔管理においても新たな心筋保護薬になることが期待される結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である、心筋虚血再灌流障害に対する高用量インスリンの保護効果は、虚血前に投与した場合に認められ、プレコンディショニング効果を有することを示すことができた。また、その作用機序に関しても示すことができ、初年度としてはおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、高用量インスリンのプレコンディショニング効果におけるPI3K /Akt経路の関与の解明を進めていくために、心筋虚血再灌流後の心筋内pAktの測定を行う。また、高血糖状態は虚血プレコンディショニング作用を抑制するとされていることから、インスリンによるプレコンディショニング作用も高血糖により抑制するのではないかという新たな仮説をたてて、これに関してもPI3K /Akt経路の面から解明する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ラットから心臓を摘出して、大動脈・肺動脈にカニュレーションを行いLangendorff 法による摘出心臓灌流標本を用いて研究を行ったが、初年度は安定した結果を得るために想定以上の期間が必要になり、Rat ELISA Kitなどの物品購入が遅れ繰越金が生じた。 次年度は、Rat ELISA Kitに関しては、測定値の信頼度を上げるために各検体をトリプルで測定する計画で、TNF-αとpAktの各項目で、5プレート(96 well/プレート)を購入する。過去の摘出心臓標本を用いた研究の経験から、その他の消耗品費として、実験動物・灌流用薬剤・測定用薬剤・記録用紙・ピペットチップを該当分購入する。また実験結果からのデータ分析・学会発表・論文作成のためのパソコン、ソフトも購入する。
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