2015 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子多型ペースメーカーチャンネルによる細胞内伝達抑制を用いた慢性痛遺伝子治療
Project/Area Number |
25462436
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
賀来 隆治 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50444659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小幡 典彦 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (30509443)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 慢性痛 / ペースメーカーチャンネル |
Outline of Annual Research Achievements |
ペースメーカーチャンネルとして知られているHyperpolarization-activated cyclic nucleotide-gated(以下HCN)チャンネルは、体内のほとんどの臓器に発現しているイオンチャンネルである。4つのサブタイプを持ち、特にサブタイプ2が、脊髄後根神経節において神経障害性痛の慢性化に関与していることが明らかになっている。特に障害された神経節からの自発活動電位は、HCNチャンネルの非選択的阻害薬であるZD7288によって抑えられ、疼痛行動も抑制されている。本研究では、選択的な拮抗薬を持たないHCNチャンネルサブタイプ2をターゲットとして、発現を抑制する、あるいは発現後に作用を抑制することで、急性痛から慢性痛への移行を抑制するという、「痛みの遺伝子治療」を目的として研究を行ってきた。初年度は、動物モデルへのフォルスコリン投与を行い疼痛行動の抑制を確認した。これは細胞内サイクリックAMP濃度の上昇によるHCNチャンネルのコンフォーメーションチェンジが関与していると考えられ、これによって細胞膜への発現が低下したことが機序と考えられた。昨年度は組織学的に細胞膜への発現変化を確認するため、フォルスコリン投与後の脊髄後根神経節の共焦点レーザー顕微鏡を用いた免疫組織検査を行い、フォルスコリン投与後に、HCNチャンネルの膜上への発現が減少したことを観察した。本研究での疼痛行動評価、免疫組織検査の結果から、動物モデルにおいて慢性痛への移行予防にフォルスコリンが有用であることが示された。本年度は研究最終年度として、これらの結果の総括を行い、現在上記結果を報告するための準備を行っており、近日中に論文として投稿する予定である。
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