2013 Fiscal Year Research-status Report
ビリベルジン/ビリルビン酸化還元系を応用した急性肺傷害に対する新しい治療法の開発
Project/Area Number |
25462450
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
高橋 徹 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (40252952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森松 博史 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30379797)
荻野 哲也 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (90252949)
清水 裕子 岡山大学, 医学部, 研究員 (80423284)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 周術期管理学 / 急性肺傷害 / 出血性ショック / 炎症 / 酸化ストレス / ビリベルジン / 8-OHdG / 炎症性サイトカイン |
Research Abstract |
出血性ショックにおいては蘇生にいったん成功しても全身性の炎症が誘発され、その結果、肺に好中球が浸潤・集積し、活性化された好中球より発生する活性酸素は肺上皮細胞を傷害し急性肺傷害を引き起こす。ヘムの代謝産物であるビリベルジンは、ビリベルジン/ビリルビン酸化還元サイクルを介して強力な抗酸化作用を示す。平成25年度の研究ではラット出血性ショック蘇生誘発急性肺傷害モデルに対してビリベルジンを静脈内投与して肺傷害に対する効果について検証した。ビリベルジン(35/mg/kg)を出血性ショック開始1時間前にラット尾静脈より投与した。本投与量では、血漿ビリルビン濃度は生理的範囲の濃度に留まった。 出血性ショックによって、肺の組織傷害度スコア、細胞浸潤、肺重量(Wet/dry比)、炎症性メディエータ(TNF-alpha;, iNOS)の発現、DNA酸化損傷マーカー(8-OHdG)発現はいずれも有意に増加していた。これに対して、ビリベルジンを投与すると、上記いずれのパラメーターも全て改善が見られた。さらに出血性ショック蘇生後にビリベルジンを投与しても肺傷害に対する保護作用を示すことを確認した。尚、Sham opeラットにビリベルジンを投与しても生理学的・生化学的に何らの異常も認められなかった。以上より、出血性ショック蘇生後急性肺傷害に対するビリベルジン投与は抗炎症と抗酸化のメカニズムを介して肺保護作用を示すと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、ビリベルジンをラット急性肺傷害モデルに投与して、1.ビリベルジンが炎症・酸化ストレスを軽減することにより急性肺傷害を改善し、2.その改善作用には細胞内情報伝達系PI3/Akt Pathwayが関与していることを、PI3/Akt Pathwayのリン酸化をWestern blotで示すことにより明らかにすることを当初の目標とした。目標の1は達成できたが、2については未だ、研究半ばの段階である、したがって概ね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
ビリベルジンのALI改善効果への細胞内情報伝達系PI3/Akt Pathwayの関与をPI3/Akt Pathwayのリン酸化で示す。さらに、PI3/Akt Pathwayの関与をさらに明らかにするために、PI3阻害剤の投与がビリベルジンの急性肺傷害効果を消滅させるかについて検討する
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度助成金を物品の購入費および旅費として使用した結果、物品の単価、旅費の金額との関係により端数として差額3円が生じた。物品費、旅費、人件費・謝金、その他いずれの項目において3円は単独で使用する金額としてはあまりにも小さく使用できなかったため平成26年度に繰り越すこととした。 平成26年度の物品費の消耗品(試薬)購入費として使用する。
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Research Products
(3 results)