2013 Fiscal Year Research-status Report
パルス高周波神経ブロックのメカニズムと感覚と痛覚への影響解析
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25462455
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
新井 健一 愛知医科大学, 医学部, 講師 (50380316)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | パルス高周波法(PRF)神経根ブロック / A-δ線維 / 鎮痛メカニズム |
Research Abstract |
健常者,慢性疼痛患者と転移性腰脊椎悪性腫瘍患者において、目的神経根の支配領域である皮膚での、感覚と痛覚の閾値の違いがあるのかどうかを調べるが、慢性疼痛患者や転移性腰脊椎悪性腫瘍患者では、疼痛コントロールのためNSAIDs、オピオイド、抗てんかん薬や抗鬱薬を内服している。今までに、内服薬による感覚や痛覚への影響と閾値の変化を詳細に調べている研究はないに等しい。また、本研究ではA-δ線維やC-線維を特異的に刺激できる特殊な電極を使用して電気誘発させるので、それぞれの薬物がどのように末梢神経の興奮を抑制するかを明らかにできる。平成25年度は、研究1:健常者,慢性疼痛患者と転移性腰脊椎悪性腫瘍患者における感覚・疼痛閾値の変化①健常者で日本光電社の筋電図・誘発電位検査装置にてA-β線維を刺激し、電気誘発反応刺激装置にてA-δ線維やC-線維を特異的に刺激できる電極で刺激して、正常状態での各線維に誘発電位を引き起こす閾値を導き出した。②転移性腰脊椎悪性腫瘍患者では、痛みセンターに紹介のある癌性疼痛患者では、疼痛緩和目的のため、NSAIDsやオピオイドを単剤で処方されていることが多い。この場合、さらに、オピオイド、抗てんかん薬や抗鬱薬を追加処方していくため、ここで筋電図・誘発電位検査装置と電気誘発反応刺激装置を使用して、A-β線維、A-δ線維やC-線維の誘発電位を引き起こす様に刺激し、追加処方前、処方後1、7、14、28日に閾値を測定し、閾値の推移を記録している途中である。更に、健常者においては、A-β線維、A-δ線維刺激時に、脳波を同期させて記録しており、それぞれのデータを解析することで、我々が使用している電極と刺激法でA-β線維、A-δ線維が特異的に刺激できていることが明らかにできている。この成果は、現在、英語論文を作成しており、投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
我々が使用している電極と刺激法でA-β線維、A-δ線維が特異的に刺激できていることが明らかにするために、健常人で脳波の記録を同期させて、データ解析する必要があったために、予想以上の時間と労力が必要であったために、計画よりやや遅れることとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究1で、慢性疼痛患者において、疼痛緩和目的で、NSAIDs、抗てんかん薬や抗鬱薬が処方されているため、抹消の受容体の閾値を抑制している可能性があり、A-β線維、A-δ線維やC-線維の誘発電位を引き起こす様に刺激し、健常者との閾値の違いを明らかにする。転移性腰脊椎悪性腫瘍患者において、疼痛緩和目的のため、さらに、オピオイド、抗てんかん薬や抗鬱薬を追加処方していくため、A-β線維、A-δ線維やC-線維の誘発電位を引き起こす様に刺激し、追加処方前、処方後1、7、14、28日に閾値を測定し、閾値の推移を記録していく。 研究2:パルス高周波神経根ブロック(PRF)前後の転移性腰脊椎悪性腫瘍患者における感覚・疼痛閾値の変化①転移性腰脊椎悪性腫瘍患者において、治療抵抗性であるため、パルス高周波神経根ブロックが施行される。ここで筋電図・誘発電位検査装置と電気誘発反応刺激装置を使用して、A-β線維、A-δ線維やC-線維の誘発電位を引き起こす様に刺激し、パルス高周波神経根ブロックを行う前、ブロック後でどのように閾値が変化したかを明らかにする。これにより、PRFは一次求心ニューロンへの直接的作用なのか、中枢からの抑制作用なのかメカニズムを明らかにしていく。 研究3:併用内服薬剤によるパルス高周波神経根ブロックの転移性腰脊椎悪性腫瘍患者における感覚・疼痛閾値の変化への影響①転移性腰脊椎悪性腫瘍患者において、抗てんかん薬や抗鬱薬を内服している群に分け、各群の患者で、パルス高周波神経根ブロックを施行する。A-β線維、A-δ線維やC-線維の誘発電位を引き起こす様に刺激し、パルス高周波神経根ブロックを行う前、ブロック後でどのように閾値が変化したかを明らかにする。末梢神経への電気的刺激で疼痛を抑制する作用があるが、その作用が抗てんかん薬や抗鬱薬でどのように影響されるかを解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
健常者で、我々が取り組んでいる電極と電気刺激法がA-β線維、A-δ線維を特異的に刺激しているかを脳波と同期させてデータを解析する細かい作業を行って、計画がやや遅れてしまったために、機器の購入が遅れたため。 遅れていた研究1が遂行されたので、研究2へ進むため研究2で必要な機器を購入するため、使用する予定である。
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