2013 Fiscal Year Research-status Report
中枢性疼痛の発症機序における長鎖脂肪酸受容体 GPR 40 の関与
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25462458
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
徳山 尚吾 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (70225358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中本 賀寿夫 神戸学院大学, 薬学部, 講師 (30432636)
原田 慎一 神戸学院大学, 薬学部, 講師 (60633443)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脳卒中後疼痛 / 長鎖脂肪酸 / アストロサイト / GPR40 / 全脳虚血モデル |
Research Abstract |
脳卒中後疼痛 (CPSP) は、脳卒中後の難治性合併症であり、神経障害性疼痛の一つとして知られる。しかしながら、CPSP に対する有効な治療薬はほとんど無く、早期の治療法確立が望まれている。これまでに我々は、長鎖脂肪酸の受容体である GPR40 が、視床下部でのβ-エンドルフィンの遊離を介して疼痛を制御することを報告した。さらに近年、長鎖脂肪酸の遊離を制御する因子の一つとして、グリア細胞であるアストロサイトが注目されている。そこで本研究では、CPSP を模する全脳虚血モデルを用いて、CPSP に対する GPR40 およびアストロサイトの関与について検討した。5 週齢の ddY 系雄性マウスに、30 分の両側総頸動脈閉塞法 (BCAO) を施し、全脳虚血モデルを作成した。BCAO 3 日後に、GPR40 の選択的アゴニスト GW9508 (0.1, 1 μg/mouse) を脳室内投与し、von Frey test により機械的刺激に対する疼痛評価を行った。GPR40 の選択的アンタゴニスト GW1100 (10 μg/mouse) は、GW9508 投与 10 分前に脳室内投与した。BCAO 3 日後の後肢において認められた痛覚過敏反応は、GW9508 の処置によって有意に抑制され、その作用は GW1100 によって消失した。BCAO 1、3、7 日後の GPR40 の発現量はなんら変化しなかった。一方で、BCAO 5 時間後において、アストロサイトの指標である glial fibrillary acidic protein の発現量が BCAO 群で有意に抑制された。以上の結果から、CPSP に対する治療ターゲットして、GPR40 が有用である可能性が示唆された。さらに、CPSP の発現機序の一部に視床下部におけるアストロサイトの関与が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(理由)平成 25 年度の計画では、長鎖脂肪酸受容体 GPR40 と脳卒中後疼痛との関連について解明することを主軸としていたが、本実験条件下における脳内 GPR40 の発現変化を検討するのに予想より時間がかかってしまった。しかしながら、有益な結果を得ることができ、現在論文投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成 26 年度の計画の沿って行う予定である。特に、脳卒中後疼痛に関与する因子を網羅的に検討するために、マイクロアレイまたは、二次元電気泳動法を用いたプロテオソーム解析を用いて、新規関連因子の同定に着手する。
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