2015 Fiscal Year Annual Research Report
手術部位感染の予防~擬似的高体温による免疫担当細胞の機能維持~
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25462460
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
三島 康典 久留米大学, 医学部, 准教授 (30258470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横溝 泰司 久留米大学, 医学部, 助教 (30569520)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | TRPV1 / 好中球 / 低体温 |
Outline of Annual Research Achievements |
健常成人から提供された血液からモノ・ポリ分離溶液を用いて好中球を分離採取し遊走能,殺菌能の実験を行った。40℃,37℃,及び30℃でそれぞれcell migration assayを行うと37℃に比べ40℃では有意に遊走能が亢進していた。一方30℃では有意に遊走能が抑制されていることが確認された。次に,好中球をTRPV1作動薬であるOLDA(N-Oleoyldopamine)で前処置を行いcell migration assayを行った。40℃,及び37℃ではコントロール群(非前処置群)との間に遊走能に差は見られなかったが,30℃においてはOLDA前処置群において遊走能の若干の亢進が確認できた。次に採取した好中球を全身麻酔薬であるプロポフォールで1時間前処置すると,いずれの温度下でも遊走能が抑制傾向にあったが,いずれもコントロールと比べて有意ではなかった。プロポフォールで1時間前処置した好中球をさらにOLDAで前処置して,同条件でmigration assayを行った。しかし全ての温度においてOLDAは好中球の遊走能に変化を与えなかった。 次に,好中球の殺菌能の指標として,好中球をPMA (phorbol-12-myristate-13-acetate)で刺激し,放出されるエラスターゼを測定した。エラスターゼは40℃で最も高く,37℃,30℃と低下した。次に,好中球をOLDAで前処置を行い,同様にPMAで刺激してエラスターゼの放出を測定したが,コントロール群と差は見られなかった。 好中球の接着能の実験は現時点においても再現性が得られず,評価することができない。 しかし,これまでの結果から,擬似的高体温としてのTRPV1処置では好中球の機能を改善させることは困難であることが示唆された。
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