2013 Fiscal Year Research-status Report
ラミニン分子を標的とした尿路上皮癌の新しい診断・治療法の開発
Project/Area Number |
25462471
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
越川 直彦 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (70334282)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 癌 / 診断 / 細胞外マトリックス / トランスレーショナルリサーチ |
Research Abstract |
本年度、ラミニン分子に特異的な抗体が膀胱内の癌組織を認識できるか否かの検討を行うため、ヌードマウスの膀胱内へ癌細胞を播種する膀胱癌モデルを作製した。まず、ヌードマウスの膀胱内へラミニン分子の発現の陽性(KMBC-2)、陰性(KU-7)の癌細胞(1x106)を注入し、4週間後にマウスを解剖し、膀胱内の播種の状況を確認した。また、それぞれの膀胱癌細胞にはルシフェラーゼ遺伝子を導入し、マウスの腹腔へルシフェリンを注入し、癌細胞の増殖を計時的に測定した。 結果、癌細胞を膀胱へ注入後4週間で、両細胞はマウスの膀胱内でのIVISの陽性シグナルを確認した。病理学的な解析から、KU-7細胞は膀胱上皮に癌の播種を形成したが、KMBC-2は明確な播種巣が確認出来なかった。現在、抗ルシフェラーゼ抗体を用いて、免疫組織学的な解析から確認をしている。一方、両癌細胞は、IVIS、H&E染色とも腎盂への強い浸潤を確認した。 一方、血中ラミニン分子の測定は、血清中のラミニン分子の測定系を確立するための検討を行っている。まず、ヒト健常血清(購入検体)に単離・精製したラミニン分子を添加(スパイク)し、ラミニン分子に特異的なモノクローナル抗体を用いたラミニン分子の定量ELISAを検討している。さらに、高知大学において泌尿器がん患者血清、および健常ボランティア血清を採取するために必要な倫理委員会への申請(変更申請)の手続きを双方の施設で行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス膀胱内にルシフェラーゼ活性を検出することが出来たことから、in vivoでのラミニン分子抗体の癌細胞へのデリバリーを確認するためのマウス膀胱内へのヒト癌細胞移植モデルのための予備的な解析は順調に推移していると考えている。また、泌尿器癌患者血清中のラミニン分子の測定法についても、0.1ng/ml以上のラミニン分子の測定が可能なことから、ELISA系を改変することで、10倍程度の感度の向上が見込まれる。 また、泌尿器癌患者血液検体を用いる臨床研究に対する倫理申請については、両大学の倫理委員会の指示に従いながら慎重に対応しており、ある程度の時間を費やすことは想定内である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については、マウス膀胱内の膀胱癌播種モデルを用いて、我々が樹立したラミニン分子特異抗体が膀胱内へ播種した細胞へ結合するか否かを検証する。まず、膀胱組織の凍結薄層切片を用いた解析から検証し、最終的なin vivoでの解析につなげる予備実験を行う。 また、倫理委員会での承認が得られた後、健常ボランティア、泌尿器癌患者からの採血を開始し、血清中のラミニン分子の定量的解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
事務的な処理で血清中のラミニン分子の解析が次年度以降になり、その分の研究経費を繰越とした。 血清中のラミニン分子の測定のためのELISAによる測定法を確立し、その手法を用いて泌尿器癌患者の血液検体中のラミニン分子の定量的な解析を行う。
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Research Products
(3 results)