2015 Fiscal Year Annual Research Report
機能性RNA分子ネットワーク解析による膀胱がんの新規個別化治療の確立
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25462490
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中川 昌之 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (90164144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 直彦 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (50345013) [Withdrawn]
榎田 英樹 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (80347103)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | microRNA / 膀胱がん |
Outline of Annual Research Achievements |
Deep sequencingによるmicroRNA (miRNA) 発現解析では、933個の既知miRNAの中でクラスターを形成するmicroRNA-451a/144-3p/144-5pに着目した。miRNA-451a/144-3p/144-5pの発現は、正常膀胱組織に比べ膀胱癌組織・癌細胞株では有意に抑制されていた(p < 0.0001)。またmiRNA-451a/144-3p/144-5pを膀胱癌細胞に核酸導入すると、miRNA-451aでは癌細胞の増殖は抑制されなかったが、miRNA144-3p/144-5pでは癌細胞の増殖を抑制した。さらにmiRNA-144-5pは細胞周期においてG1-arestを誘導する事で癌細胞の増殖を抑制することが明らかとなった。miRNA-144-5pの制御する分子ネットワークを探索した結果、細胞周期関連遺伝子(CCNE1・CCNE2・CDC25A・PKMYT1)が、このmiRNAの標的遺伝子候補となった。さらにルシフェラーゼレポーターアッセイにて、miRNA-144-5pがこれら細胞周期関連遺伝子(CCNE1・CCNE2・CDC25A・PKMYT1)を直接制御することを証明した。CCNE1、CCNE2、CDC25A、PKMYT1の発現は、正常組織に比べ膀胱癌臨床検体・癌細胞株で有意に亢進していた(p < 0.0001)。さらに臨床膀胱癌検体においてCCNE1、CCNE2の高発現群では全生存率の有意な低下を認めた(p = 0.0251、p = 0.0324)。 従来はmiRNAの生合成過程で従来はpassenger strandとして機能しないと考えられていたmiR-144-5pであるが、本研究により実は正常細胞で発現があり、癌細胞においては強力な癌抑制型miRNAとして機能することを見出した。膀胱癌においてmicroRNA-144-5pは、細胞周期関連遺伝(CCNE1・CCNE2・CDC25A・PKMYT1)を直接的に制御することで癌抑制型miRNAとして機能している事が明らかとなった。またCCNE1、CCNE2は膀胱癌患者において、予後予測マーカーや新規治療標的分子となる可能性が考えられた。
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