2013 Fiscal Year Research-status Report
外尿道括約筋筋膜欠損モデルを用いた細胞シート移植による尿失禁治療の検討
Project/Area Number |
25462508
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
加藤 晴朗 信州大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (90233808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今村 哲也 信州大学, 医学部, 特任講師 (00467143)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 尿道括約筋筋膜 / 細胞シート / 組織工学 / 尿道再生 |
Research Abstract |
泌尿器外科領域において、前立腺全摘術によって尿道括約筋が損傷し、機能不全が生じた重度の尿失禁に対して、脂肪細胞注入法、あるいは、人工括約筋埋め込み術が試みられる。両治療とも有望ではあるが、細胞療法は臨床研究段階であり、一方、人工括約筋埋め込み術は侵襲が大きい手術となってしまう。これらの問題を解決するための尿道括約筋の再建手術、あるいは、再生医療は、患者の生活の質を確実に向上させることが期待される。 本研究は、尿禁制の回復における解剖学的な外尿道括約筋筋膜の機能的役割について、動物モデルを用いて検討する。さらに、Tissue Engineering技術を応用した骨髄由来細胞、あるいは、脂肪由来細胞の細胞シートを作製し、外尿道括約筋を被う筋膜様構造組織を欠損させた尿道にパッチ移植することによって、外尿道括約筋筋膜を温存させたときと同様に、尿禁制が回復に貢献ができるのかどうかを明らかにする。また、細胞シート移植により、外尿道括約筋の組織構造が再生されるのかどうか検討する。 これらの目的を遂行するために、本年度は、良質なウサギ尿道括約筋筋膜欠損モデルの作製を実施した。10週齢雄New Zealand White (NZW)に麻酔をかけ、切開した下腹部から膀胱―尿道を露出させ、尿道を取り囲む組織をはがし、尿道(外尿道括約筋)を被う筋膜様構造を手術用顕微鏡下で、尿道外側から外尿道括約筋筋膜を焼灼メスによって、剥離、除去した。また、開腹し、膀胱―尿道露出する偽手術をした動物を対照群とした。手術から2週間後に、漏出時圧(Leak Point Pressure: LPP)測定を行い、外尿道括約筋筋膜を欠損した群と対照群とを比較し、LPP値が有意に低下している(尿が漏れやすい)かどうか評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
尿道括約筋の損傷による重度の尿失禁治療における、外尿道括約筋筋膜の機能的役割の解明、および、細胞シートによる外尿道括約筋再生の研究を遂行するには、良質な尿道括約筋筋膜欠損モデルの作製が必要不可欠となる。したがって、本年度は、ウサギ尿道括約筋筋膜欠損モデルの作製を中心に実施した。麻酔をかけた10週齢雄NZWの下腹部から膀胱―尿道を露出させ、尿道を取り囲む組織をはがし、尿道(外尿道括約筋)を被う筋膜様構造を手術用顕微鏡下で、焼灼メスなどによって、剥離、除去した。手術から2週間後に、LPP測定を行い、外尿道括約筋筋膜を欠損した群と偽手術を行った対照群とを比較し、LPP値が有意に低下しているかどうか評価した。 しかし、この一連の実験を繰り返し実施したが、外尿道括約筋筋膜を欠損することによって、尿が漏れやすい(対照群と比較して有意に低いLPP値を示す)モデルの作製の成功には至らなかった。この原因として、傷害(筋膜欠損)を与えても、動物のもつ自然治癒力によって、何も処置しなくても傷害部が回復してしまうことが考察された。したがって、LPP値の低下が認められるようなモデルを確立するために、筋膜の剥離、除去に加え、尿道組織の一部にも傷害を与える実験に変更することにした。来年度は、この変更により良質なモデルを確立することをめざす。以上から、当初の計画よりも若干の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、動物モデルを用いて、尿禁制の回復における解剖学的な外尿道括約筋筋膜の機能的役割、および、Tissue Engineering技術を応用した骨髄由来細胞、あるいは、脂肪由来細胞の細胞シートにより外尿道括約筋筋膜を温存させたときと同様に、尿禁制の回復ができるのかどうかを明らかにすることである。この研究目的を遂行するためには、良質なウサギ尿度括約筋筋膜欠損モデルの確立が必須である。本年度の研究結果から、モデル作製プロトコールの変更、および、手技の工夫が必要であることが判明した。したがって、良質なモデル作製の確立に向けて、筋膜の剥離、除去に加え、尿道組織の一部にも傷害を与える実験に変更したプロトコール、あるいは、実験手技を試みながら、継続していく。
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[Journal Article] Implantation of adipose-derived cells reconstructs functional urethral sphincters in rabbit cryo-injured urethra2014
Author(s)
Gautam S S, Imamura T, Ishizuka O, Zhang L, Yamagishi T, Yokoyama H, Minagawa T, Ogawa T, Kurizaki Y, Kato H, Nishizawa O
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Journal Title
Tissue Engineering Part A
Volume: in press
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed
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