2013 Fiscal Year Research-status Report
下部尿路閉塞における膀胱微小循環の変化と交感神経α1遮断薬の効果
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25462510
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
後藤 百万 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10186900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舟橋 康人 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (70534824)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 下部尿路閉塞 / 膀胱微小循環 / 交感神経α1遮断薬 |
Research Abstract |
CCD生体顕微鏡によりラット膀胱粘膜毛細血管(膀胱微小循環)、膀胱筋層の動脈・静脈を区別して同定し、粘膜毛細血管内の赤血球速度を測定し、血流を数値化した。膀胱過伸展、空虚時の膀胱粘膜毛細血管血流測定で、過伸展により血流遮断され(虚血)、空虚化により血流再開(再灌流)したが、血流はベースラインまで回復せず、虚血再灌流障害発生が確認された。交感神経α1D>A遮断薬のナフトピジルを用いて、ラット下部尿路閉塞モデルで、ナフトピジルの膀胱微小循環障害に対する効果を検討した。雌SDラットに下部尿路閉塞を作り、ナフトピジル(30mg/kg)の皮下浸透圧ポンプによる投与、生理食塩水投与(コントロール)を行い、排尿状態、膀胱内圧測定、膀胱粘膜毛細管血流(微小循環)の変化、および組織学的変化についてsham手術群と比較検討した。さらに、酸化ストレスマーカー8-OHdGの組織中濃度を酵素免疫アッセイにて測定した。その結果、下部尿路閉塞群では排尿回数の増加、膀胱容量の低下がみられた。ナフトピジル投与群では、コントロール群に比べて有意に排尿回数が低下し、膀胱容量も増加した。毛細管血流は下部尿路閉塞により低下したが、ナフトピジル投与群では、コントロール群に比べて毛細管血流低下を抑制した。組織中8-OHdGは、下部尿路閉塞群>下部尿路閉塞+ナフトピジル投与群>sham群であり、ナフトピジルは下部尿路閉塞における酸化ストレスを改善した。組織学的検討では、ナフトピジル群では、下部尿路閉塞に伴って起こる膀胱壁の肥厚が抑制された。ナフトピジルは下部尿路閉塞による排尿筋過活動、膀胱微小循環障害の改善効果を有することが示唆された。今年度の検討により、α1遮断薬はα1Aおよびα1D受容体を介して、膀胱虚血再灌流障害による膀胱微小循環障害、酸化ストレスの抑制により、膀胱機能改善効果を示すことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、ラットにおける膀胱虚血再潅流モデルの確立と、CCD生体顕微鏡による微小循環の数値化測定法の確立であったが、これらの目標は達成したうえで、平成26年度計画の一部であるα1遮断薬を用いた下部尿路閉塞ラットにおける、膀胱内圧測定による膀胱機能評価、酸化ストレス評価、組織学的検討の一部まで実施し、知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の予定に沿って、膀胱虚血再還流モデルラットの膀胱の組織学的、免疫組織学的検討、炎症性サイトカインの測定、α1受容体サブタイプのmRNAおよびタンパクレベルでの定量化、さらに膀胱粘膜毛細血管の透過性に関する検討まで実施する。
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Research Products
(1 results)