2013 Fiscal Year Research-status Report
ギャップ結合からみた過活動膀胱の原因解明とテルミサルタンの新規治療薬への応用
Project/Area Number |
25462515
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
森 健一 大分大学, 医学部, 助教 (00579013)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
住野 泰弘 大分大学, 医学部, 講師 (30325716)
三股 浩光 大分大学, 医学部, 教授 (60219714)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | アンジオテンシンII受容体 / 加齢 / 排尿機能障害 / ギャップ結 |
Research Abstract |
①高齢および若年ラットにおける尿流動態学的検査を行い両群の比較を行った。高齢ラットでは蓄尿期に有意に頻尿や無抑制収縮を認め過活動膀胱を呈しており、さらに排尿期においては排尿筋収縮力が低下していることを確認できた。これは臨床でみられる加齢に伴う排尿障害の病態にあう結果であった。この加齢に伴う排尿機能障害の病態をアンジオテンシン受容体の観点から検討するために、②高齢ラットと若年ラットの膀胱、尿道組織を摘出し、AT1受容体、MAPキナーゼ、ギャップ結合、および神経成長因子(NGF)の分子生物学的な比較検討を行った。若年ラットに比較し高齢ラットにおいては、膀胱および尿道組織においてAT1受容体、MAPキナーゼ、コネキシン43の脱リン酸化蛋白の発現の増強が確認できた。さらに、RT-PCRを用いてmRNAレベルでの比較検討も行ったところ、高齢ラットにおける膀胱および尿道組織において、蛋白発現と同様にAT1受容体の発現増強、MAPキナーゼの発現増強、コネキシン43の発現増強、さらにNGF発現増強を確認できた。これらの結果より加齢による排尿障害の原因として、膀胱および尿道組織におけるアンジオテンシン受容体の関連があることが明らかとなった。 本年度は高齢ラットと若年ラットを用いて下部尿路狭窄モデルを作成し、若年下部尿路狭窄モデルと高齢下部尿路狭窄モデルにおける膀胱、尿道組織でのAT1受容体、MAPキナーゼ、コネキシン43蛋白の分子生物学的比較検討と尿流動態学的な比較検討を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
若年ラットと比較し高齢ラットでは過活動膀胱と排尿筋収縮力低下を呈していること、さらに、若年ラットと比較し高齢ラットにおける膀胱、尿道組織においてはAT1受容体、MAPキナーゼ、コネキシン43、およびNGFのmRNAおよび蛋白発現の増強がみられることを確認し、この成果を国内および国際学会で報告した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は高齢ラットと若年ラットを用いて尿道狭窄によるラット過活動膀胱モデルを作成する。両群ラットに尿道狭窄という刺激を加える事で、昨年度に得られた膀胱および尿道組織でのAT1受容体発現亢進、MAPキナーゼの機能亢進、コネキシン43蛋白の脱リン酸化によるギャップ結合の破綻、およびNGFの発現をそれぞれ顕著にし、両群の比較を再度行う。本年度は高齢過活動膀胱モデルでは若年モデルに比較し、さらにAT1受容体発現亢進、MAPキナーゼの機能亢進、およびコネキシン蛋白の脱リン酸化によるギャップ結合の破綻が増強していることを明らかにする予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究が概ね順調に進み、当初予定していたラット数さらに生化学実験用の抗体、薬液などの物品が少なくて済んだため。 高齢ラット、動物実験器具、生化学実験用の抗体や薬液購入に使用予定である。
|
Research Products
(6 results)