2013 Fiscal Year Research-status Report
羊膜を基質として作成した培養口腔粘膜シートを用いた尿路再建法の開発
Project/Area Number |
25462525
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
内藤 泰行 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50405312)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲富 勉 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00305583)
三木 恒治 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10243239)
中村 隆宏 同志社大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (30411078)
邵 仁哲 明治国際医療大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40305587)
河内 明宏 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90240952)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 口腔粘膜 / 尿路再建 / 再生医学 |
Research Abstract |
今回の研究の目的は培養口腔粘膜シートを用いた尿路再建法の開発にある。尿路再建の対象臓器が尿道、膀胱、尿管であるために、培養口腔粘膜シートには十分な伸縮性と強度を持つことが要求される。今年度は実施計画に基づき、培養口腔粘膜シートの細胞学的特徴や強度・伸展性を検証し、シートの十分な量の確保の方法を検討し、シート作成から再建手術までの保存方法についても検討を実施した。 まず計画に基づき、培養口腔粘膜シートにおいて、上皮の持つ細胞の形態および接着構造特性を検証した。免疫学的手法を用いて、培養した口腔粘膜上皮シート上の、角化型ケラチン(K1、K10)、粘膜特異的ケラチン(K4,13)を検索した。結果、培養した口腔粘膜上皮シートは、非角化性の性質を有し、いわゆる水分環境に対して強い性質を有する非角化性の粘膜上皮であることが確認された。 さらに、電子顕微鏡的手法を用いて、本来の口腔粘膜が有するべき最表層の微絨毛の存在が確認された。細胞間のデスモゾームによる細胞接着の状態、基底細胞と羊膜間のヘミデスモゾームによる接着構造についても、本来の口腔粘膜上皮と同じ構造を有することが確認された。 膀胱の再建には十分な容量の確保が必須で、そのためには十分な量のシートの確保と確実な保存法が要求される。今回、再建手術までの保存方法として、培地に使用したDMEM/F12混合培地、10%FBS, インシュリン(5mg/ml)、コレラトキシン(0.1nM)、ペニシリンーストレプトマイシン(50IU)をベースに保存液の開発を試みた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回の研究の実施計画で、初年度の課題は『培養上皮シートの細胞学的検証および強度・伸展性の検討』と『シートの十分な量の確保や保存方法の検討』である。 『培養上皮シートの細胞学的検証および強度・伸展性の検討』では、培養口腔粘膜シートにおいて、上皮の持つ細胞の形態および接着構造特性を検証した結果、培養した口腔粘膜上皮シートは、非角化性の性質を有し、いわゆる水分環境に対して強い性質を有する非角化性の粘膜上皮であることが確認された。さらに、電子顕微鏡的手法を用いて、本来の口腔粘膜が有するべき最表層の微絨毛の存在が確認された。細胞間のデスモゾームによる細胞接着の状態、基底細胞と羊膜間のヘミデスモゾームによる接着構造についても、本来の口腔粘膜上皮と同じ構造を有することが確認された。 『シートの十分な量の確保や保存方法の検討』では、培地に使用したDMEM/F12混合培地、10%FBS, インシュリン(5mg/ml)、コレラトキシン(0.1nM)、ペニシリンーストレプトマイシン(50IU)をベースに保存液の開発を試み、現在検証継続中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の計画推進については、まず『培養上皮シートの細胞学的検証および強度・伸展性の検討』における、培養上皮シートの強度・伸展性の検討を行う。実施計画の基づき、シートの伸縮性および強度を、引張試験により検討する引張試験には、生体組織用引張試験装置(既存の装置)を用いる。実験動物(犬・豚)から摘出した正常の尿道・膀胱、尿管の壁組織も同様に試験し比較検討する。さらに、前年度から継続して『シートの十分な量の確保や保存方法の検討』を行っていく。 これらを行った後に、継続して平成26年度以降は、実験動物を用いて尿道形成術、膀胱拡大術、尿管形成術を行い、各臓器について機能的評価を加える。さらに、長期的な経過観察を行い、発がんの有無や組織の萎縮などについて、組織学的変化について評価する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入物品の変更により、残額が生じた。 来年度は、計画に基づき、膀胱拡大術などの動物実験のための実験動物を購入する予定である。また、細胞培養のための試液等の購入も予定している。
|