2013 Fiscal Year Research-status Report
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25462526
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
松吉 ひろ子 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (10448772)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 神経成長因子 / 後根神経節 |
Research Abstract |
膀胱機能を調節する知覚神経の存在する後根神経節において、正常ラット群、Sham処置群、膀胱炎モデル群ともに神経細胞周囲にプレイオトロフィンタンパクが存在することを、免疫組織化学手法を用いて証明した。加えて、ウエスタンブロット法より、シャム処置群、膀胱炎モデル群のL6、S1位後根神経節においてプレイオトロフィンの発現の多い個体が存在することがわかり、さらに、膀胱機能に関与しないL4位後根神経節ではその発現が小さいという結果も得た。ただし、免疫組織化学では、炎症モデル群での発現が若干高いようではあるが、3群について明確な差は認められず、また、ウエスタンブロット法においても、正常でも発現の高い個体が存在するため、さらに実験を繰り返し統計学的に解析する必要がある。 上記の結果を受け、プレイオトロフィン合成についての知見を得るため、in situ hybridization技術を用いて、プレイオトロフィンmRNAの分布を検討する計画を立てた。プレイオトロフィンとその受容体といわれているReceptor protein tyrosine phosphataseβ/ζ、Anaplastic lymphoma kinase、N-syndecanのRNAプローブを作成し実験を開始したが、組織標本作製法や、実験条件等の検討を要する状態であり、結果を得る段階には達していない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
in situ hybridization用のプローブを作製し実験を行ったが、対照であるセンス鎖プローブでの染色陽性像などの問題が起こった。そのため、再度プローブを合成し実験したが、組織のスライドグラスからの剥離、反応による組織変化などの問題も加わり、in situ hybridizationの安定した条件を確立することができなかった。今後は、プローブの再設計まで視野に入れ、早急な実験条件確立を目指したい。
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Strategy for Future Research Activity |
in situ hybridization技術を用いて、正常ラット・膀胱機能不全モデルラット後根神経節でのプレイオトロフィンおよびその受容体のmRNAの発現・局在を調べ比較することにより、プレイオトロフィンが膀胱機能不全のある場合にどのような働きをするかについて解剖学的に検討する。 ラット膀胱知覚神経の入力するL6、S1 位の後根神経節(DRG)に細胞体を持つ知覚神経細胞を初代培養し、プレイオトロフィン蛋白質が正常ラット、膀胱炎モデルラットの知覚神経細胞の活動電位や膜に存在するチャネルの特性を変化させるかどうか電気生理学的手法を用いて調べる。続いて、膀胱知覚神経と衛星細胞との共培養系を確立し、正常神経細胞-正常衛生細胞、正常神経細胞-モデル衛生細胞、モデル神経細胞-正常衛生細胞、モデル神経細胞-モデル衛生細胞の組み合わせの共培養細胞を用いて、膀胱知覚神経と衛星細胞との相互作用について、電気生理学的手法を用いてに比較し、考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
組織観察での使用を兼ねて電気生理用蛍光顕微鏡を初年度に購入する予定であったが、組織観察には所属大学の共用顕微鏡の使用が可能となったため、実験の進行状況に合わせて、電気生理実験用の他の機器とともに、次年度購入するよう予定を変更した。 電気生理実験用に、倒立顕微鏡システム、増幅器、マニピュレーター、マニピュレーター接続ステージ、解析ソフト等を購入する予定である。
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