2013 Fiscal Year Research-status Report
標的細胞特異的 DDS技術を用いた免疫抑制siRNAによる移植臓器の免疫寛容誘導
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25462535
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
市丸 直嗣 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座准教授 (70346211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梨井 康 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (60321890)
高原 史郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座教授 (70179547)
貝森 淳哉 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座准教授 (70527697)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | siCD40 / SPG |
Research Abstract |
βグルカン(SPG)とsiCD40の複合体を作成して機能性核酸キャリアとして用いた。受容体Dectin-1は抗原提示細胞(DC)に特異的に発現し,このSPG側鎖と結合してsiCD40-SPG複合体をDC内にエンドサイトーシスで取り込む。 ドナーマウスをC57BL/10(B10)、レシピエントマウスをCBAとした異所性心移植モデルを用いた。移植心の拍動確認を生着と評価し、投与したsiCD40/SPGの有効性を確認した。前処置なしのコントロール群,siCD40投与群,siGAPDH/SPG投与群のレシピエントマウスにおいて移植心はそれぞれ7.3±0.6日(n=12),7.3±0.8日(n=7),8.9±4.9日(n=7)で拒絶されたのに対し,本研究目的のsiCD40/SPG投与群レシピエントマウスにおいて移植心は全例が100日以上生着した(n=16)。この長期生着した移植心の病理組織標本では,僅かな間質への炎症細胞浸潤を認めるのみで,心筋障害は認めなかった。このためsiCD40-SPG複合体はマウス心移植モデルにおいて長期生着を誘導すると考えられた。 次にex vivo MLRを行った。siCD40/SPG投与群レシピエントマウスから取り出した脾細胞は,ドナータイプのB10由来のDCで再刺激しても増殖能が低下していたのに対し,third partyであるBalb/c由来のDCで刺激した場合は増殖能が保たれていた。さらに,siCD40/SPG投与群レシピエントマウスから取り出した脾細胞を別の無処置CBAマウスにadoptive transferした後に,ドナータイプのB10から心移植した場合は生着したが,third partyのBalb/cから心移植した場合は拒絶された。このことからsiCD40/SPG投与により,ドナー特異的な免疫学的低応答が誘導されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りに,順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,ラット同所性腎臓移植モデルを用いて,腎移植モデルにおけるsiCD40-SPG複合体の生着延長効果を確認する予定である。 まず,ラットsiRNAの配列選択とSPG複合体の最適化 を行う。ラット腎移植モデルにおいては、siRNA配列設計から行う必要がある。siRNA配列を少なくとも4種類設計し、最もCD40 mRNAを抑制し且つ加水分解しにくいものを選択する。その上でSPG との複合体を作成し、物性評価・分子細胞学的評価in vitro RNAi 活性評価を進めて最終剤型を確定する。設計したsiRNAをそれぞれラット尾静脈から投与して MLRを実施しアロ応答の減弱が果たされているか確認する最適化検討を行った後、ラット腎移植実験を開始する。 ラット腎移植モデルは,ドナーラット(Fisher)左腎をレシピエントラット(Lewis)左腎と置き換え、5日後に右腎を摘出する。このモデルではレシピエントラットの生存をもって,移植腎の生着と判断できる。siCD40-SPG複合体の投与スケジュールは、マウス心移植実験の結果を参考に,種々の組み合わせを実施する予定である。また、尿量・尿タンパク・血清および尿中クレアチニン濃度,クレアチニンクリアランスなどを測定して、移植腎の機能(回復および不全)を観察する。
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