2013 Fiscal Year Research-status Report
腎移植患者におけるPolyomavirus BK感染に関する前向き研究
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25462540
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
升谷 耕介 九州大学, 大学病院, 助教 (30419593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北田 秀久 九州大学, 大学病院, 助教 (10403958)
中野 敏昭 九州大学, 大学病院, 助教 (10432931)
鶴屋 和彦 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20372740)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | BKウイルス腎症 / 腎移植 / スクリーニング / 定量的核酸同定検査 / 先行的治療 / 移植腎機能障害 / 間質線維化 / 尿細管間質性腎炎 |
Research Abstract |
現在外来通院中の腎移植後の患者のうち、新規にBKウイルス腎症を発症した症例を平成25年度は3症例に認めた。そのうち難治例であった1症例の尿検体を経時的に保存、他の尿中デコイ細胞陽性例の尿検体も多数保存し、陽性と思われる検体を十分量得た。その後、核酸抽出装置によりDNAの抽出を試みた。尿中のウイルスDNAは微量であり、尿濃縮の工程や抽出キットの選択のため複数回の検討を要した。抽出キットは4種類あり、その中から最もDNA収量の多いものを選択した。また、PCRのプライマも結果的に3種類準備して複数回の検討を行った後、そのうち一つを選択、PCRの条件設定を行った。最終的には同じ検体を用いた外注検査の結果と照合し、診療に応用可能な感度でPCR検査が行えることを確認した。 この間、米国移植学会のBKウイルス感染症に関するガイドライン改訂版が平成25年に発表された。PCR検査の頻度と期間が本研究の当初の計画(最初の6ヶ月間は毎月、以後3ヶ月毎に24ヶ月まで)と異なるものになっている(最初の24ヶ月間は3ヶ月毎、以後年1回5年まで)。また、生体腎移植症例については今後、移植前にドナーとレシピエントのBKウイルス抗体を測定できるようになったことから、BKウイルス陽性ドナーから陽性、あるいは陰性レシピエントに対して腎移植が行われた際の腎症発症リスクに対する検討も加えるため、申請内容の変更を要し、前向きコホート研究が平成25年度中には開始できず、平成26年からの開始予定となった。前者の問題については当院のBKウイルス腎症の診断時期が移植後平均156日後であることから、PCRスクリーニングの期間を移植後5年まで延長しても、BKウイルス腎症の頻度、本研究結果に大きな影響を与えないものと推測している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
核酸抽出装置のデモンストレーションおよび購入に要する期間、抽出キットの選択およびプライマの設計を含むPCRの条件設定に時間を要したことと、腎移植前向きコホート研究の開始が遅れていることがある。前者については平成25年度内に達成出来たため、現在の問題は後者である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題の方向性に変更はない。平成25年も当院の腎移植症例は105件と前年より更に増加しており、病理学的に確認し得たBKウイルス腎症や10000コピー/mL以上のBKウイルス尿症の存在が示唆される尿中デコイ細胞持続陽性症例も一定の頻度で発生しているため、早期に前向き研究が開始されれば目標症例数、あるいはそれに近い数の症例の集積が可能と推測している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に必要な機器と試薬、旅費に必要な額を使用したが、次年度の試薬購入のための金額が増加することが予想されるため、次年度に一部回すことにしている。 PCR用試薬の購入に充てる予定。
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Research Products
(11 results)