2013 Fiscal Year Research-status Report
加齢に伴う卵子の数および質の低下はメラトニンで予防できるか。
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25462559
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
田村 博史 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50379947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅田 裕美 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (90526906)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メラトニン / 卵巣 / 加齢 / 卵子 / 活性酸素 |
Research Abstract |
卵胞数の減少や卵の質の低下に起因する卵巣の加齢は、高齢女性の妊孕能低下の重要な因子である。我々は松果体ホルモンのメラトニンが卵胞液中に存在し、抗酸化作用を発揮して、排卵過程で発生する活性酸素から卵を保護することを報告してきた。今回はメラトニンの長期投与で卵巣の加齢を予防できるかどうかを検討した。 10週齢雌ICRマウスをメラトニン投与群(M群)とコントロール群(C群)の2群に分け、43週まで同一条件下で飼育した。メラトニン投与群はメラトニン水(100μg/ml)を、コントロール群は水を飲水させ飼育した。13、23、33、43週齢でPMSG(15 IU)による過排卵刺激を行い、48時間後HCG(15 IU)を投与、15時間後に卵巣、卵管を採取した。①卵管内より卵子を回収し排卵数を計測した。②回収した卵子に雄マウスより採取した精子を媒精(10x104個/ml)して体外受精を行い、24時間後に受精を確認した。 ①排卵数は、C群では13週:24.4±8.9個、23週:26.3±3.3個、33週:12.8±4.3個、43週:6.4±1.1個と加齢に伴い低下した。M群では33週:19.0±10.0個、43週:11.6±3.2個と、C群に比較して43週で有意に多かった。②体外受精の受精率は、C群では13週:77.9%、23週:73.4%、33週:52.9%、43週:21.4%と加齢に伴い低下した。M群では33週:67.4%、43週:50.9%と、C群に比較して43週で有意に高値であった。 メラトニンの長期投与によって、加齢に伴う排卵数の減少、受精率の低下が防がれた。メラトニンの投与によって卵巣の加齢を軽減できる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在のところ、メラトニンの長期投与によって加齢に伴う卵胞数の減少が軽減でき、さらに体外受精の受精率の低下も軽減できたことから、予想通りの結果が得られている。ただし、卵子のミトコンドリア活性、ATP産生能、酸化ストレスマーカー発現といった蛍光顕微鏡を使用する研究は現在準備をすすめているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、メラトニンの卵巣加齢予防効果の詳細な機序について研究を継続する。卵巣の組織学的な検討により各発育段階の卵胞数を計測すること、卵巣のトランスクリプトーム解析としてマイクロアレイ法で発現遺伝子の違いなどを検討する。また、卵子のミトコンドリア活性、ATP産生能、酸化ストレスマーカー発現、抗酸化酵素発現、テロメラーゼ発現などの検討を行い、卵子の加齢がメラトニンによってどのような効果がもたらされるかを詳細に検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定では、物品費としてオールインワン蛍光顕微鏡ユニットを購入予定であったが、研究計画の変更により次年度に購入するため、次年度使用額が生じた。 卵子のミトコンドリア活性、ATP産生能、酸化ストレスマーカー発現の解析をするためオールインワン蛍光顕微鏡ユニットならびに実験用試薬の購入費に充てる。さらに卵巣の組織学的検討(卵胞数の計測)、マイクロアレイを用いたトランスクリプト―ム解析による発現遺伝子の検討、卵子の抗酸化酵素発現やテロメラーゼ発現の検討などの実験用器具、試薬の購入費として使用する。
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Research Products
(4 results)