2013 Fiscal Year Research-status Report
精子と子宮内膜の相互作用の解明と新たな着床障害の治療応用に関する研究
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25462565
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
河野 康志 大分大学, 医学部, 准教授 (40274758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奈須 家栄 大分大学, 医学部, 教授 (30274757)
楢原 久司 大分大学, 医学部, 教授 (60211447)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 子宮内膜 / PAR / 着床 |
Research Abstract |
Protease-activated receptor (PAR)-2を介する生理活性物質の産生調節に注目し、子宮内膜においてPAR-2が細胞内情報伝達系とどのような相互作用を引き起こすか、さらにこれらの現象が妊娠維持や流産および不育症などの生殖現象にどのように関わっているかを調べる目的で検討を行った。 子宮内膜間質細胞を培養し、PAR-2のtetherd ligandを添加したところ、PAR-2 を介してmitogen-activated protein kinase (MAPK)であるERK、p38、JNKの時間依存的なリン酸化が認められ、特にERKは特に強いリン酸化がみられた。また、これらの酵素は、それぞれ特異的な阻害剤の添加でリン酸化が抑制された。一方、MAPKの下流にある翻訳関連蛋白である4E-BP-1、p70S6 kinaseおよびS6 ribosomal proteinもPAR-2 を介して時間依存性に活性が認められた。これらの蛋白質は、MAPKのそれぞれ特異的な阻害剤の添加でその活性化が抑制された。 また、培養上清中のケモカイン(interleukin-8、growth-regulated oncogeneα、monocyte-chemoattractant protein-1)をELISA法を用いて定量したところ、PAR-2を介して産生量が増加した。次に、それぞれ特異的な阻害剤をPAR-2のtetherd ligand とともに添加したところ、それらの産生は抑制された。 今回の結果から、子宮内膜においてPAR-2はMAPKを介して翻訳関連蛋白の制御により各種蛋白の産生を調節することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検体も順調に入手でき、仮説通りの実験結果になっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
同じPAR-2のagonistic enzymeとしての活性を持つ精子を添加し、細胞内情報伝達系に関連したリン酸化酵素を網羅的解析することにより細胞内で特異的に活性化する酵素を解析する。これまで、MAPK の活性化を確認しているが、さらにPAR-2 を介して活性化する酵素を確認することで子宮内膜の成熟に必要な細胞内情報伝達系を解明したい。
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