2013 Fiscal Year Research-status Report
精子形成不全における温度依存的に影響を及ぼす分子の解明
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25462572
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
吉田 佳世 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30311921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木津 あかね 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30623201)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 停留精巣 / 精子形成 / 精原細胞 |
Research Abstract |
わが国にとって少子化は重要な問題であり、不妊による影響も大きいと考えられる。近年、男性の精子数の減少や異常の増加が報告されており、服装の変化やストレスとの関係などが問題となっている。哺乳類のオスでは精巣は体温より約3度低い陰嚢に入っており、この温度で精子が形成される。まれに停留精巣になった場合、不妊率は高くなることが知られている。このように哺乳動物の精子形成には高温では進行しない仕組みがあると考えられる。 本課題では、マウスを用いて人工的な停留精巣を作製し、高温で精子形成を停止させるステップを特定するとともに、精子形成において温度感受性に関与する遺伝子を同定することにより、精子形成メカニズムとその生理的意義を明らかにすることを目的とする。 今年度は、マウスを用いて人工的な停留精巣を作製した。その結果、停留精巣処理後に精子形成が停止していることが確認できた。また、そのような精細管内に精原細胞が存在することが復帰実験により明らかとなった。マウス減数分裂特異的な相同組換え遺伝子であるDmc1遺伝子の欠損マウスについても、停留精巣処理を行ったところほぼ同様であった。これらの結果から、マウスの精子形成において、高温による影響は精子形成の初期の段階に起こることが示唆された。さらに、停留精巣による精巣の高温処理は安定した条件を保つのが困難であることが判明したため、精巣を37度にすることによって高温処理を行う代替方法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
正常マウスとDmc1遺伝子欠損マウスについて停留精巣処理を行った結果、ほぼ同様に精細胞の欠損がみられたため、高温による精子形成の停止において、Dmc1遺伝子の影響はあまり重要でないと考えられた。このことから、研究対象をDmc1欠損マウスを中心に行うよりも正常マウスを中心とする方が適切であると示唆された。 さらに、マウスを人工的に停留精巣の処置をする際、手術による精巣及び他臓器への損傷等がマウスにとって負担となることもあり、条件を一定にすることが困難であった。そこで、精巣を37度に処理し、精子形成への影響を観察する系を検討した。この方法についても精子形成の停止が確認できたので、この系を代替方法として使用することにした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、マウスの精巣を37度に処理する方法により、精子形成の停止を人工的におこし、精巣内の細胞について関連分子を特定するための解析を行う。具体的にはDNAの発現、免疫染色法によるタンパクの発現を比較することにより、どのような分子が精子形成初期あるいは減数分裂期に影響しているのかを明らかにする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、Dmc1遺伝子欠損マウスの精巣からのmRNA量を抽出しDNAチップによる解析を行う予定であったが、解析に必要なmRNA量が十分量採取できなかった。そのため、高温処理したマウス精巣からの遺伝子発現を解析することに変更したため、次年度への繰り越しによる使用額が生じた。 次年度は、高温処理したマウス精巣からmRNAを抽出し、DNAチップによる遺伝子発現の解析を行う。
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Research Products
(2 results)